ドル/円 1時間足
15日月曜の東京タイム、ドル/円の売りが一時強まり107.00円近辺をつけましたが、海外に入ると買い戻され、その後は横ばい推移でした。
16日火曜の東京タイムには、一時買いが強まり、週の高値107.63円をつけました。
その後いったん軟化しましたが、ニューヨークタイムになり発表された5月の米小売売上高(※)が過去最大の伸びとなったことから、瞬間的に107.62円近辺まで急上昇。
しかし続かず、107.30円近辺に戻しました。
米小売売上高
- 米国のGDPに占める個人消費は大きいことから、この指標は景気動向を占う上で、注目されています。
17日水曜は揉み合いが続きましたが、ニューヨークタイムに入ると、米国の一部地域で新型コロナウイルスの感染が拡大したことから売りが強まり、それまで堅かった107.00円を割り込みました。
18日木曜、取引水準は106円台後半にシフトし、107.00円以上になると猛烈な売りがたびたび観測されました。
ニューヨークタイムに入り、発表された週次の米新規失業保険申請件数(※)が予想を上回ったことから景気回復に対する慎重論が広がって売りが強まり、週安値106.67円をつけました。
米新規失業保険申請件数
- 新規の失業保険申請動向が週間ベースで発表されており、足元の雇用情勢が把握できるため注目されています。
19日金曜、前日ぐらいから顕著になっていましたが、107.00円に乗せたときの猛烈な売りが、この日もたびたび観測されます。
これについては、ある憶測が広がりました。
「巨額損失を出したソフトバンクが、自社株買いと銀行への返済をするため手持ちの海外株を売却しているのでは。
それに絡んで、2兆円規模のドル売り円買いが出ている可能性がある」というものでした。
確かに、繰り返される執拗な戻り売りには説得力のある見方でした。
海外に入り、海外勢は「東京勢はショートになっている」と見て、買い戻させようと猛烈に買ってきましたが、売りも引かず。
拮抗状態のまま、106.87円近辺での越週となりました。
今週の値幅は一応96銭ありましたが、実際のところは揉み合い相場の期間が長く、膠着感の強い1週間だったと言えるでしょう。
その中で、戻り売りがしつこく、しかも大量に出ていることを木曜日頃から感じていました。
金曜になって「ソフトバンク絡みのドル売り」という噂を耳にするようになり、確かにその可能性が高いと納得がいきました。
このような大口の為替取引は、企業の債務処理に限らず、企業買収や増資なども含めてたびたび発生します。
ドル売り円買いばかりではなく、ドル買い円売りの場合もありますが、そうした大口取引の発生はある程度、前もってわかります。
今回のソフトバンクの場合も、3月に損失処理のための海外株の売却が発表されていて、あとはいつ実施されるかと噂されていました。
為替取引の実施時期は公表されないため憶測するしかありませんが、大量に売りが出れば、しかもしつこく戻り売りをすれば、ああ出ているなということが高い確率でわかります。
そうなれば、あとは、その売りを織り込んで相場を見ていく必要があるわけです。
なお、こうした売り注文は、指値注文(値段を指定して売る注文)ではなく、成行注文(ある水準以上であればこのくらいの金額まで売るという注文)で出ることが、特に外資系銀行経由では多いと言えます。
なぜなら、大量に売るときに指値注文をドカッとおいてしまうと、マーケットも大きな注文に気づいてしまい、なかなか指値の水準で買ってこなくなり、売り切れなくなるからです。
しかし成行注文であれば、たとえば107.00円以上に買い上げてきたら、もぐら叩きの要領で買いを叩いていけばいいわけで、大量注文を消化しやすくなるのです。
ある一定水準で、上がったり下がったりを繰り返して、15分足チャートなどで上ヒゲ(ロウソク足の実体の上に出る線)が何本も出ると、こうした成行注文が出ていることがわかります。
今週も、こうした上ヒゲを何本も出す値動きが繰り返される可能性が高く、チャートで観察してみるといい勉強になると思います。
トレードの際にも意識しておきましょう。