ドル/円 1時間足
8日月曜、アジアオープン早々に週高値109.63円をつけました。
その後ジリ安が続きましたが、ニューヨークがオープンすると、前週金曜の好結果だった米雇用統計発表後にできたと思われるドルロング(ドルの買い持ち)の手仕舞いの売りが強烈に出て、108.24円まで急落しました。
9日火曜は値ごろ感(※)からの買いが出るものの、反発は弱くジリジリと下げる動き(ジリ安)が続き、107.63円近辺まで下落しました。
値ごろ感
- 非常に感覚的なもので、下げると「このあたりなら買ってもいいかな?」、上がると「このあたりなら売ってもいいかな?」といった感覚でポジションを持とうとすること。
10日水曜、引き続きジリ安が続きました。
11日木曜未明、米国の中央銀行制度の最高意思決定機関であるFRBはFOMC(※)でゼロ金利政策(※)を2022年まで継続すると表明したことから、悲観的なムードが強まり、106.99円まで下落しました。
FOMC
- 米連邦公開市場委員会
- 米国の金融政策決定会合
ゼロ金利政策
- 政策金利をゼロパーセントにする金融緩和策
11日のニューヨークがオープンすると、FRBがゼロ金利政策継続を決めたことから既に悲観的になっていたところに、新型コロナウィルスの感染「第2波」が米国景気の正常化を遅らせるとして、ニューヨークダウが1800ドルを超す急落。
リスク回避から米国債や金が買われ、FXでは安全通貨とされる円やスイスフランに買いが殺到して、ドル/円は週の安値となる106.58円まで急落となりました。
12日金曜、前日のニューヨークダウの急落を受け、東京オープン直後に売りが殺到。
いったん106.90円近辺に戻していたドル/円は、再び106.59円まで下げました。
しかし、それ以上には下がらず、むしろ下がったことで売りを確信した多くのマーケット参加者が戻りを売り上がってショートになったもようでした。
東京午後になると株の買い戻しを受けて反発となり、ショートのストップロスを巻き込んで上昇し、107円台に乗せました。
いったん揉み合いとなりましたが、依然ショートが切れていないことを、ロンドン勢(ロンドンの投機筋)の気づくところとなり、ロンドン勢はショートスクイズ(※)を実行しました。
ショートスクイズ
- ショート筋を買い上げて切らせて利食うロンドン勢の得意技
107.55円までロンドン勢は買い上げて利食いに回り107.22円近辺まで下げました。
その後のニューヨークは高値圏で横ばい推移となり、結局、107.36円での越週となりました。
今週の相場は、典型的なマーケット心理が相場を動かしたと言えます。
前週金曜に発表された米雇用統計が予想より良く、相場が上がったのを見て上げを確信。
月曜からの下落局面で買い下がってロングになり投げ、木曜のニューヨークダウが1800ドル以上の下げになったことで、下げを確信して売り上がってショートになり買い戻すというものです。
つまり、多くのマーケット参加者は、上がったのを見て上げだと確信して、それでも高いところを買うのは怖いので、下がってくるところを値ごろ感から買っているのです。
しかし上がらず、一段下げになって損切りして投げる…といったことを繰り返すことが散見されます。
要するに、買うなら買うで早く買って、上がったところを売り抜かなければなりません。
決心がつかず、下がってきて「多くのマーケット参加者が買いだと思うところで買う」という後手に回っていることが、傷口を広げています。
むしろ、急落するならそれに乗って売る、急上昇するならそれに乗って買う積極姿勢がなければ、大きな利益は望めません。
有名な相場格言に、「人の行く裏に道あり花の山」というものがあります。
要は、人と同じことをしていても儲からない、多くの人が行こうとしている方向の逆に儲けの山があるということです。
それを教えてくれた一週間だったと思います。