ドル/円 1時間足
25日月曜、ロンドンがバンクホリデー(※)、ニューヨークはメモリアルデー(※)で休場のため閑散な一日でした。
バンクホリデー
- まさに銀行休業日で、イギリスでは、祝日をこう呼ぶ場合がほとんどです。
メモリアルデー
- 戦没将兵追悼記念日。
- 米国の祝日。
26日火曜、東京タイムに上値を試す動きとなり、一時107.93円まで買われました。
しかし、上値は相変わらず重い展開。
マーケットは買い過ぎたことをロンドン勢に見破られ、ロングポジションを切らせようとするロンドン勢の売りに崩れ、一時107.41円まで下落しました。
27日水曜、朝方、まだマーケットがロングポジションに偏って重たかったことが狙われて売られ、一時107.37円まで下げました。
ロンドンタイムとなり、欧州委員会が5000億ユーロの補助金を交付することを提案したことから、リスクが回避されたとして円売りが強まり(リスクオン※)、一時週の高値107.95近辺まで上昇しました。
しかし、その後は相変わらず重く、107.65円近辺まで反落しました。
リスクオン
- リスクが回避されると、逃避先であった安全通貨の円から資金が流出する(売られる)というマーケットでの慣行です。
28日木曜、107.75~85円近辺の高値圏で推移していましたが、ロンドンタイムになると上値が重くなりました。
29日未明、ニューヨークタイムも遅くなってから、トランプ大統領が中国に関する記者会見を行うと予告したことで、急速に警戒感が高まりました。
東京がオープンすると、リスクを回避しようと円買いドル売り(リスクオフ※)が一層強まり、107.40円が割れたところではロング筋のストップロスも集中したようで、一時週の安値107.06円まで急落しました。
リスクオフ
- リスクが発生すると、それを回避するため安全通貨である円に逃避する(買う)という慣行がマーケットにはあります。
しかし、急落を見て、今度は下げを確信して売り始めたマーケット参加者が多かった様子。
安値圏でもみ合っているうちにショートポジションが積み上がったもようです。
ロンドンタイムに入ると、そうしてできたショート筋をロンドン勢は買い上げて切らせようとしたため、大幅な買い戻しとなり(=ショートスクイズ)、この動きはニューヨークタイムまで引き継がれました。
そして、発表されたトランプ大統領の香港への統制強化を決めた中国に対する制裁措置は、事前に予想されたほどは厳しくはなかったことから、一時107.89円をつけるまで上昇し、結局、107.79円での越週となりました。
尚、金曜の海外では、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円といったクロス円も大幅上昇となりました。
今週もマーケットは果敢に107.90円台を幾度も攻めましたが、売りは引きませんでした。
金曜にはトランプ大統領の記者会見開催予告でリスクオフが急速に高まり、上昇のエネルギーとなりましたが、それでも107.90円台の売りは依然として存在しています。
この売りは何かと憶測しますと、おそらく機関投資家の代表格である生命保険会社の売りではないかと見ています。
生命保険会社は、昨年度までの外債運用重視から、今年度は円債運用重視に、この4月に方針を転換しました。
したがって、「外債を売って得たドルを売り円に換えて円債を買う」という手続きを現在しているものと見ています。
これが上を抑え、一方、下は公的年金の運用機関であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、4月に外債運用を大幅拡大したことで買いで待っているという、上下の巨大な売りと買いに挟まれた構図ではないかと思われます。
生命保険会社の売りとGPIFの買いのどちらが大きいかと言えば、GPIFの方がケタ違いに大きく、結局は、生命保険会社の売りは飲みこまれていくものと見ています。
しかし、今のところどちらもじっくりとにらみ合っているところで、間に挟まれたマーケットが1円弱のレンジ内で右往左往しているという状況だと思われます。
高いところは買わず、安いところは売らず、冷静にこのレンジ相場を生き抜くことが、今は大事だと思います。レンジには終わりがあります。
焦らず、その時を待つことです。