ドル/円 1時間足
11日月曜、東京の早朝からニューヨーク午後に掛けてドルが継続して大量に買い上げられ、一本調子に約1円30銭上昇し、週の高値107.76円をつけました。
相当量(50億ドル?)のドルが買われたもようです。
国民年金・厚生年金といった公的年金の運用機関であるGPIF(※)は、4月から新5カ年中期計画により外債運用を15%から25%に拡大しました。
その純粋な増加部分10%(約17兆円?)の外債の買い増しとそれに伴うドルをはじめ外貨買い円売りが、一部出てきている可能性があります。
GPIF
- 年金積立金管理運用独立行政法人、Government Pension Investment Fund。
- 2019年末時点の総資産額169兆円の世界最大の年金基金。
- クジラの異名を持ちます。
いずれにしても、大量の買いが実際に終日出ていたことは確かです。
12日火曜、前日の大量買いは止みましたが、ドルの先高観(※)から買い下がるマーケット参加者が多かったようで、マーケットのポジションはロング(買い持ち)となったもようです。
ドルの先高観
- 将来的にドルが上がるという見方。
13日水曜、前日と同様に買い下がりが続き、さらにマーケットはロングになって上がりません。
そのため、あきらめて売るマーケット参加者もいますが、安くなったところで新たに買う別のマーケット参加者もいて、ロングはむしろ増加し、さらに下落を続けました。
同日のニューヨークタイム、パウエルFRB議長が新型コロナウィルスに米景気の下振れリスク(※)を強調したため売りが強まり、週の安値106.74円をつけました。
しかし、パウエル議長はマイナス金利導入(※)には否定的だったため、一時107.15円近辺まで反発しました。
米景気の下振れリスク
- 米景気が後退するリスクのこと。
マイナス金利導入
- 景気浮揚のための金融緩和策の一つで、金利水準をマイナスにするもの。
14日木曜は再びジリ安となりましたが、ニューヨークタイムに入り、トランプ大統領が「強いドル」を支持すると発言したことに加えて、米株が反発したこともあって買いが強まりました。
15日金曜、15日で5・10日(ゴトウビ※)のため、仲値決め(※)の10時前に向けてドル買いはさらに強まり、一時107.43円をつけます。
しかし前日のトランプ発言を受けて、あらためてドルを買い下がるマーケット参加者が増えたため、ジリ安の再開となりました。
5・10日
- 5の倍数の日の仲値決めでは、輸入企業が海外仕入れ先に代金支払いのためドル買いをするため、仲値がドル高で決まる傾向があります。
仲値決め
- 大手銀行や大手外銀は、毎日、企業や個人顧客向けに、その日の取引基準となるレート(仲値)を公表しています。
107.00円ちょうどが割れて、ロングのロスカット(損切り)が大きく出て、一時106.86円をつけましたが、その後発表されたミシガン大学消費者景況感指数が予想を上回ったことから、一時107.34円近辺まで反発するなど乱高下の末に、結局107.16円で越週となりました。
月曜の一本調子のドル高や、木曜のトランプ大統領の「ドル高」支持発言などから、どうしてもドル高志向(ドル高で見る)が強まりやすいことが、逆にマーケットをロングにさせ、下げやすくさせたところがあったように思います。
ただし、4時間足で見ますと、現在三角保ち合い(もちあい)になっています。
今の段階では、三角保ち合いが上下どちらにブレイクするかを、自然体で見ていく時ではないかと思います。
ドル/円 4時間足
三角保ち合いとは、相場が収束していく過程。
つまり、レンジ相場の一種で、収束してエネルギーを溜め、上下いずれかにブレイクすると、ブレイクした方向にトレンド相場になる傾向があります。
ブレイクした方向に乗るのが、一般的なトレード法です。
一方向への動きが長く続くため、焦らず相場が向かう方向をしっかりと見極めてから、追撃的に相場に入ることが重要です。