ドル/円 1時間足
5月4日月曜、一時は週の高値107.06円まで上昇しましたが、米政府が「新型コロナウィルスは武漢研究所が起源」と指摘したのに対して、中国政府は否定したことから関係は悪化。
それに伴いリスク回避の円買い(※)が強まり、一時106.64円まで反落しました。
リスク回避の円買い
- リスクが発生すると安全通貨とされる円が買われる傾向が相場にはあります。
5日火曜、ドイツ連邦憲法裁判所(※)が、「ECB(※)が国債購入(※)の必要性を示さない限り、ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行は国債購入を停止しなければならない」とする判断を示したことから、ユーロが急落したため、リスク回避の円買いが再び強まり、一時106.42円まで下落しました。
ドイツ連邦憲法裁判所
- ドイツ連邦共和国における憲法を取り扱う連邦裁判所。
ECB
- European Central Bank、ヨーロッパ中央銀行。
国債購入
- 金融緩和による景気浮揚を目的とする市場への資金供給の手段の一つ。
6日水曜、前日のドイツ連邦憲法裁判所の1件が尾を引き、ECBの金融政策への不透明感からリスク回避の円買いがさらに強まり一時105.99円の週の安値をつけました。
7日木曜、今週これまでのドル/円の下落を受けて、マーケットのセンチメント(市場心理)は、ドルの先安観が強まります。
戻り売りがかさんだことから、マーケットのポジションがショートに偏ったためジリ高となり、一時106.65円まで上昇しました。
しかし、その後上げ相場から一転して下落し(「反落」と言う)、106.22円近辺をつけました。
ワンポイント
ドル相場が今後下がるだろうとする見方からドルの先安観となり、相場が上に戻したところを売ろうとする行為が増える(=戻り売りがかさむ)こととなり、下がりきれずにジリジリと上昇する相場、ジリ高となっています。
マーケットがショート(売り方)主導になっている時、下げ切れずに買戻しが起きる事で見られる動きです。
8日金曜、この日は米雇用統計の発表が予定され、失業率は16.0%、非農業部門雇用者数は-2200.0万人と予想されていました。
アジアタイム、ドルの先安観からマーケットは戻り売りがかさみ、ジリ高となります。
ただし、この日はロンドンがバンクホリデー(※)だったため、ロンドン勢のショートスクイズ(※)は出ませんでした。
バンクホリデー
- 銀行休業日、すなわち休日のことをイギリスではこう言います。
ショートスクイズ
ショート筋(売っている投機筋)を買い上げることで、買い戻させて利食いを行うロンドン勢の得意技。
特に、弱い米雇用統計が予想された発表当日に雇用統計発表前まで仕掛けられることが傾向的に多いと言えます。
実際に米雇用統計発表されると、失業率は14.7%、非農業部門雇用者数は-2050万人と最悪ではあったものの予想よりは良かったことから買いが強まり、106.75円まで反発。106.70円での越週となりました。
週前半、米中関係悪化やECBの金融政策に対する不透明感からジリ安となり、徐々に弱気派が台頭(※)。
ポジション的にもショートに偏ったため、週後半は、いくら悪い米雇用統計が出ても下がらなくなりました。
弱気派の台頭
- 先行き相場が下がると見る向きが増えること。
つまり、連休中並びに連休明けの週で、まだ機関投資家や実需が本格的には動いていない相場だったということ。
投機筋のポジションの偏りの逆にしか相場は動きませんでした。
要は、今の相場が投機筋だけの相場で方向感のないレンジ相場になるか、機関投資家や実需筋が動いて一方向にフロー(資金の流れ)を作り、トレンド相場となるか。
その時々でマーケットを構成しているマーケット参加者の癖を覚えることが重要です。
来週から、機関投資家も実需も本格的に動き出すものと思われ、もう少し方向性のある動きになるのではないかと見ています。