ドル/円 1時間足
4月27日月曜、仲値決めに向けて輸入決済のドル買い(※)が強まり、週の高値107.62円をつけました。
仲値決め、輸入決済のドル買い
大手の銀行が、その日の公表レートを決めることを「仲値決め」といい、公正なレートとして多くの企業が採用しています。
輸入企業は、海外から輸入した材料や製品の代金をドルで支払うため銀行からドルを買いますが、これを「輸入決済のドル買い」といいます。
そして昼過ぎ、日銀が追加緩和として無制限の国債購入、社債・コマーシャルペーパーの購入上限引き上げを決定しました。
ワンポイント
日銀は国債を制限なく購入し、潤沢な資金を市場に供給することにより景気回復を図っています。
また企業が資金を調達するために発行する社債やコマーシャルぺーパー(※)の買い入れ枠も3倍にして、国債と同様に潤沢な資金を市場に供給することで金融緩和を図ることとしました。
社債
企業が資金調達の手段として、投資家から資金を募る際に発行する有価証券。
コマーシャルペーパー
企業が短期資金調達の目的で発行する無担保の約束手形のこと。
約束手形とは、代金の受取人に対して手形の振出人(支払人)が、所定の期日に決められた金額の支払いを約束する証書のこと。
この日銀の決定は、前週からマーケットでは織り込まれており、発表されると「材料出尽くし感」から売りが強まりました。
「材料出尽くし感からの売り」とは、注目した材料が予想通りの結果となった場合、期待が現実となってポジションの手仕舞い売りが強まるというもの。
マーケットではよく見られる光景です。
同日のニューヨークでは、米経済再開の動きが好感され、ダウは360ドル近くの上昇となり、ドル/円も買われました。
28日火曜、投機的なユーロ/円の売りが強まり、ドル/円も下押しされ、一時106.56円近辺まで下げます。
29日水曜、ロンドンではさらに106.37円の安値まで売り込まれました。
ニューヨークに入ってからは、米ギリアド・サイエンシズ社の抗ウイルス薬「レムデシビル」が、新型コロナウイルスに有効性を示したとの発表を受け、一時106.76円近辺まで買いが強まります。
しかし上値も重く、それから翌30日木曜のほとんどの期間、安値圏でもみ合いとなりました。
30日には、月末のポジションの手仕舞いと思われるクロス円(※)の買い戻しが集中。ドル/円も大きく反発し、一時107.50円まで反発しました。
クロス円
ドル/円以外の円絡みの通貨ペア。たとえば、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円など。
5月1日金曜、米国のトランプ大統領が新型コロナウイルスへの対応について中国を批判。
報復措置を検討していることを明らかにしたため、リスク回避の円買いが強まり、一時106.62円まで下落します。
ところが、発表された4月のISM製造業景気指数(※)は予想を上回ったことから、一時107.08円近辺まで反発し、106.90円で越週となりました。
ISM製造業景気指数
全米の製造業350社の購買担当役員に対するアンケート調査を実施し、その結果を基に作成する景況感を表す指数。非常に注目されています。
今週も、基本的に4月のレンジ相場の中での動きに終始しましたが、特にクロス円での仕掛けにマーケットも乗ってしまった感があります。
月末30日の買い戻しの大幅反発に、多くのマーケット参加者が巻き込まれてしまったのではないでしょうか。
しかし、このレンジになりやすい4月も終わり、5月は投資家や実需も動き出すので、もっとトレンド性のある動きが出てくるものと見ています。
教訓としてよく覚えておいていただきたいことは、4月は方向感の定まらないレンジ相場になりやすいということです。