目次
FXの取引時間は24時間…だけど取引できない時間もある
FXは基本的に、月曜~金曜であればほぼ24時間取引できます。
日本の株の場合、東京証券取引所の開いている平日の9時〜15時が取引時間となりますが、外国為替市場は世界中で取引が行われているからです。
これは祝日でも同様ですが、FX会社が営業されていないことが多いので、取引はできても一部のサポートが受けられないことはあります。
具体的に、トレードができるのは月曜日の朝7時から土曜日の朝7時までで、取引ができないのは以下の時間帯です。
- FX会社が休みの日(土曜日の午前7時〜月曜日の午前7時、正月)
- FX会社のメンテナンス時間(平日午前6時〜7時付近)
また欧米では、クリスマスなど世界の大きな市場がお休みになるシーズンは、取引可能時間を夕方までに制限するケースもあります。
ただこのような稀なケースはFX会社からメールなどでお知らせが届きますから、完璧に暗記しておかなくても問題ありません。
注意しておくとしたらサマータイムの始まりと終わりの時期くらいでしょう。
サマータイムって何?
サマータイム
- サマータイムとは、日中の時間を有効活用する目的で「夏に時間を1時間進める」制度。主に欧州・米国・オセアニアの各国で適用されています。
1時間進めるタイミングは各国で違いますが、FXでは米国のサマータイムに伴って取引時間が変化します。
米国標準時間(冬時間) | 米国サマータイム(夏時間) | |
---|---|---|
期間 | 11月第1日曜日〜3月第2日曜日 | 3月第2日曜日〜11月第1日曜日 |
FX会社の取引時間 | 月曜午前7時~土曜午前7時 | 月曜午前6時~土曜午前6時 |
ちなみに欧州ではサマータイム制度を2021年に撤廃する法案が可決されるなど、世界的にサマータイムをやめる動きが出ています。
アメリカが撤廃したらFX会社の取引時間も変わるかもしれません。
なお、サマータイム実施中は、冬時間と比べていろいろな経済統計が1時間早く発表されます。たとえば米国雇用統計は、冬時間だと22時30分ですが、夏時間だと21時30分です。
1回の取引に時間制限はある?
先物取引やバイナリーオプションは「●●の日時になったら自動的にポジションが決済される」といったルールがありますが、FXには1回の取引に時間制限はありません。
ただし、FXにはロスカットという制度が設けられていて、有効証拠金(取引口座の資金や取引中の損益の合算金額)が必要証拠金(取引に必要な金額)を下回ったタイミングで強制的に決済されます。
FX会社の取引ルールにロスカットの制度が導入されているのは、顧客の損失の拡大を防ぐのが狙いです。
いつFXをしてる?トレーダーの生活スタイルをデータを元に大公開!
FXトレーダーたちが1日にかけるFXの時間は実にさまざまです。
暇さえあればチャートを見て分析している人もいれば、空き時間をFXの情報収集に使い帰宅後1〜2時間だけFXをする人もいます。
【編集部が実際に出会ってきたトレーダーの取引スタイル一例】- チャートを見る時間は1日5分。チャンスがある時だけ夕方に取引(決済は予約)しているフリーター
- 出勤退勤の移動中に為替情報を収集し、帰宅後22時〜翌1時のニューヨーク時間に取引している会社員
- 取引は自動売買で運用し、通勤中、昼休みに情報収集&チャート分析を行っている営業マン
- 週足月足で売買判断を行うので分析時間が週に一度、1時間だけの個人投資家
- 日本時間の朝、夕方にだけ、特定の条件を満たしていれば取引するプロトレーダー
FXにおいてトレードで結果を出す方法は一つだけではなく、取引できる時間がごく僅かしかない人でも利益を狙えるのがFXの大きなメリットといえるでしょう。
FXをしている時間を多くすれば利益が出るわけではありません(FXを勉強する時間は必要ですが)。重要なのは、取引時間をたくさん作ることではなく、自分のライフスタイルや性格にあったトレードスタイルを見つけ出すことです。
ただ現実問題として、FXトレーダーのほとんどは本業の仕事を持っているため、ずっと相場に張り付いている取引スタイルの人はほとんどいないことは覚えておいてください。
寝る前の時間でFXを行う人が圧倒的!
※出典:外為どっとコム総合研究所「外為白書2018-19(第10号)」『FX取引を行う主な時間帯』
外為どっとコム総合研究所が発行した「外為白書2018-19(第10号)」に「FX取引を行う主な時間帯」のアンケート結果があります。
それによると、最も多かったのが21〜24時(日本時間)で67.6%、次いで18〜21時で45.5%、9〜12時で31.4%という結果でした(複数回答可)。
仕事から帰宅して就寝するまでの時間帯にFXをしている人が多いことがわかります。
取引時間はバラバラでも良いの?
FXは24時間いつでも取引が可能な上、取引する通貨ペアの種類も数十種類あります。
選択肢がありすぎて、どの時間帯でどの通貨ペアをトレードすればいいのか迷ってしまう初心者も少なくありません。
これからFXを始めるのであれば、まずは自分が集中してチャートの動きを確認できる時間帯に絞り、次に馴染みのある通貨ペアを1つ2つ選び、自分の時間帯でどのような動き方をするのかチャートを毎日見続けることから始めてみましょう。
注目する通貨ペアと時間帯を絞り込むことによって、値動きの傾向をつかみやすくなります。
時間帯の選び方のコツは、日常の生活サイクルが崩れないようにすることです。FXをするためにわざわざ生活のリズムを崩してしまうと、仕事や家事育児など本来やらなくてはいけないことに支障をきたしてしまいます。
通貨ペアを選ぶ観点は、たとえば以下のようなものです。
- 母国通貨は日本円なので、ドル円、ユーロ円、豪ドル円といった円の絡んだ通貨ペアから選ぶ
- 世界の基軸通貨である米ドルに絞り、ドル円、ユーロドル、ポンドドルなどをチェックする
- 旅行経験がありオーストラリアやニュージーランドが好きなのでオセアニア通貨に絞り、豪ドル円、NZドル円をチェックする
といった具合に、身近に感じるものから選ぶといいでしょう。
時間によって値動きに特徴がある?初心者が知っておきたい取引時間の基本
FXは世界中で毎日取引されていますが、時間帯によって値動きに特徴があります。大きく分けると東京時間、欧州時間、ニューヨーク時間という3つの時間帯があります。
東京時間の前にオセアニア時間もありますが、主要な時間帯は東京・欧州・ニューヨークとなるでしょう。
オセアニア時間 | 東京時間 | 欧州時間 | ニューヨーク時間 | |
---|---|---|---|---|
日本時間 | 5〜8時くらい | 8時〜15時くらい | 15時〜21時くらい | 20時〜翌6時くらい |
値動きに特徴が出てくる理由としては、
- 参加者の違い
- 取引量の違い
- 値動きに大きな影響を与える経済指標の有無
などが挙げられます。
豪ドルやNZドルの通貨ペアで取引する方は、東京時間が始まる前のオセアニア時間も確認しておきたいところです。
それぞれの時間帯の特徴を順番に見ていきましょう。
オセアニア時間
ニュージーランドのウェリントン市場やオーストラリアのシドニー市場が動いている時間帯です。
日本時間で5〜8時くらいになります。一般的な会社員の起床〜通勤時間といったところでしょうか。
この時間帯の特徴としては、
- ニューヨーク市場が終了目前でボラティリティ(値動きの変動率)が低くなる
- 市場参加者と取引量が減りリクイディティ(市場の流動性)が低くなるため、ささいな出来事で相場が大きく動くときがある
- 週末に為替相場に影響を与える出来事があると一番早く反応する(窓が開く)
- 流動性が低いためFX会社のスプレッドが広がる
などがあります。
上の画像はオセアニア時間(イエロー)、東京時間(グレー)、欧州時間(グリーン)、ニューヨーク時間(レッド)を色分けしたチャートです。他の時間帯と比べて値動きの幅が小さいことが分かります。
オセアニア時間に取引する場合にどんな手法が向いている?
1週間の始まり、月曜の朝7時から使える手法に「窓埋めトレード」があります。
FX市場が休みの週末に為替相場に影響を与える出来事があると、週末の価格と週明けスタート時の価格に大きな差が生まれ、ローソク足に大きな開きができます。
これを「窓」というのですが、月曜早朝はその窓を埋める値動きをしやすい特徴があります。
この特徴を活かして、
- 月曜7時に窓を確認
- 1分足や5分足で価格が反転しそうな場所を見極める
- 週末の終値の方向に買い(売り)を入れる
- 窓が埋まったら決済
という手法が考えられます。当然ですが窓が埋まるのは「絶対」ではありませんので、損切りの逆指値注文も入れておきましょう。
東京時間
日本が主役となる時間帯でおよそ8時〜15時くらいです。
一般的な会社員の通勤中〜仕事中の時間帯ですね。
ロンドン時間やニューヨーク時間ほど取引量は多くないので、比較的穏やかな値動きをします。
この時間帯の特徴としては、- 9時〜9時55分はドルが上がりやすい
- 10時〜12時にかけてドルが下がりやすい
- 午前中の早い時間(8時〜10時頃)は昨夜のニューヨーク時間の流れに乗る参加者が多い
などがあります。
上の画像はオセアニア時間(イエロー)、東京時間(グレー)、欧州時間(グリーン)、ニューヨーク時間(レッド)を色分けしたチャートです。
ニューヨーク時間から東京時間の午前中にかけてトレンドが続きやすい特徴が見られますが過信は禁物です。
東京時間に取引する場合にどんな手法が向いている?
朝の9時にチャートを見られる方なら「仲値トレード」ができます。
先ほど「9時から9時55分はドルが上がりやすい」と説明しましたがこれには理由があります。
銀行などの金融機関が顧客に対して提示するその日の為替レートを「仲値」といい、9時55分の価格を参考に決めています。
9時55分に向けて銀行の顧客である輸出入業者が注文を入れてくるのですが、輸入業者のドル買いが多い傾向にあります。
それを知っている銀行は「できるだけ高い為替レートを顧客に提示したい」という思惑から、価格の釣り上げを狙って9時55分までドル買いに動きます。
9時〜9時55分にかけてドルが上がりやすいといわれるのには、このような背景があります。
また、仲値後から正午にかけて高くなったドルが売られやすいという特徴もあります。
この特徴を活かして、
- 9時から9時55分の時間帯でドルを買う
- 10時から12時の時間帯でドルを売る
という手法が考えられます。
ただし9時になったら無条件にドル買いに走るのではなく、例えば1分足で一つ前の高値を更新したら買う、といった感じでドル買いの流れを確認した上でエントリーしましょう。
こういった仲値の傾向が特に顕著になるのが、月末とゴトー日(末尾が5と0の日)。どちらも決済日としている企業が多いからです。
同様に金曜日にも少しその傾向があります。
茨城大学鈴木教授に聞く!ゴトー日の仲値トレードはどうすべき?統計データからわかるアノマリー検証
「仲値トレード」という、古くから知られている日本固有のアノマリーを利用したトレード手法があります。このトレード手法について、茨城大•••続きを読む
欧州時間
ロンドンをはじめ、ヨーロッパ各国の市場が動いている時間帯で、15時〜21時くらい。
一般的な会社員は、まだ仕事中か、あるいは帰宅して一息ついている頃でしょうか。
この時間帯は世界中から参加者が集まり、取引量が多くなります。
東京時間では凪のような相場だったのが、欧州時間、特にロンドン市場が動き始めるタイミングで一気に動くことがありますので注意が必要です。
この時間帯の特徴としては、
- ユーロやポンドなどの欧州通貨が動きやすい
- 東京時間の流れと反対の流れになりやすい
- 欧州各国の経済指標発表前後で関連する通貨ペアは急変動しやすい
上の画像はオセアニア時間(イエロー)、東京時間(グレー)、欧州時間(グリーン)、ニューヨーク時間(レッド)を色分けしたチャートです。
欧州時間は東京時間でできた流れと反対の動きをしやすいのが分かると思います。
どうしてこのような特徴があるかというと、欧州時間の参加者が東京時間で取引を始めた参加者のロスカットを狙っているからです。
欧州時間に取引する場合にどんな手法が向いている?
東京時間の値動きを使った手法があります。
- 東京時間の高値と安値を確認する
- 欧州時間に入ってから東京時間の高値安値を超えた方向にエントリー
この手法を使っていたトレーダーは、1日の中でチャート確認するのは東京時間から欧州時間に切り替わるタイミングだけ、ほんの5分ほど。
東京時間の高値と安値を超えたあたりにOCO注文をセットしているため、その後もチャートをほとんど見ていません。
「忙しくてFXをする時間がない」という方でも挑戦できるのではないでしょうか。
ニューヨーク時間
ニューヨーク時間は日本時間で20時〜翌6時くらいまで。
欧州時間と重なる時間帯から米国の参加者が参戦してきて、深夜1時くらいをピークに取引量が増えていきます。
「2-1.何時くらいに見ている人が多い?」で紹介した通り、日本のトレーダーが最も多く注目している時間帯でもあります。
夕食を済ませて就寝するまでの間にトレードしようとする人が多いのかもしれませんね。
ニューヨーク時間の特徴としては、
- 米ドルに影響を与える米国の経済指標の発表がある
- 米雇用統計など重要な経済指標の発表前後は相場が急変動しやすい
- ロンドンフィキシングの時間帯はボラティリティが高くなる
- 0時〜1時頃に作られた相場の流れ(トレンド)は早朝まで続きやすい
- 深夜1時頃をピークに早朝にかけて相場の値動きが緩やか(レンジ相場)になっていく
ちなみにロンドンフィキシングとは欧州企業が決済に使う為替レートのことで、時間は日本時間で深夜1時(夏時間は24時)になります。
東京市場の仲値と同じですね。ロンドンフィキシング前の時間に入るとそれまでの流れとは全く異なる値動きをすることがあるので注意が必要です。
ニューヨーク時間に取引する場合にどんな手法が向いている?
ニューヨーク時間に向いているスキャルピングの手法を紹介します。
ニューヨーク時間は深夜2時くらいから早朝にかけて値動きが穏やかになりレンジ相場になりやすい特徴があります。レンジ相場が形成されるのを待ち、短時間で細かく利益を狙っていきます。
- 深夜2時〜3時くらいからチャートを確認して、値動きが穏やかになるのを待つ(ボリンジャーバンドなどレンジ相場で機能しやすいテクニカル指標を使うとわかりやすいでしょう)
- レンジ相場の天井と底で逆張りエントリー
- 欲張らずにレンジの中間あたり(ボリンジャーバンドだとミドルライン付近)で決済
初心者はどの時間で取引したら良い?押さえておきたいポイント2つ
どの時間帯が利益を出しやすく損失を抑えやすいのか。
気になる人は多いと思いますが、結論からいいますと、どの時間帯でも問題ありません。
重要なのは、生活サイクルを崩さずトレードに取り組める時間帯です。
たとえば、
- 子育て中の方なら、子どもを幼稚園に連れて行ってから家事がひと段落した10時から子どもが帰ってくる14~16時まで(東京時間)
- 一般的な会社員なら、仕事から帰ってきて就寝するまでの空き時間(ニューヨーク時間)
といったように、空き時間を使ってのトレードのが望ましいでしょう。
なぜなら、FXは手法も大事ですがそれ以上にメンタルが大事だからです。
終わらせておきたいこと(仕事、家事、勉強など)をおろそかにした状態で取引をすると、そちらが気になって手法のルールも守れなくなってしまいます。
まずは日常生活に支障をきたさない範囲で取引できる時間帯を見つけ、次にその時間帯で使える手法を探してみるといいでしょう。
時間帯が切り替わる時は要注意!
オセアニア時間、東京時間、欧州時間、ニューヨーク時間と、FXにおける取引時間ごとの特徴を説明してきましたが、それぞれの時間帯に共通する点があります。
それは、各時間が切り替わるタイミングは値動きが急変しやすいことです。
東京時間なら日本、欧州時間ならヨーロッパ、ニューヨーク時間なら米国といったように、時間帯が切り替わるタイミングで相場参加者の入れ替わりがあり、各市場の株式相場が始まるため、ポジションを決済したり新規で取引する動きが活発になるためです。
この共通点は、利益を出すチャンスにも損失を出すピンチにもなるので覚えておきましょう。
土日にポジションを持ち続けるのは危ない
またもう一つ注意点として、週末にポジションを持ち越すリスクが挙げられます。
オセアニア時間の特徴のところで触れましたが、FXの取引ができない土日に為替相場に影響を与える出来事があると、週末の価格と週明けスタート時の価格に大きな差が生まれることがあります。
この値動きに巻き込まれ予想外の損失が出てしまうリスクがあるため、スイングトレードやポジショントレード以外の手法でエントリーしたポジションは金曜日中に決済しておく方がいいでしょう。
メリハリをつけて、予約注文も活用する
FX市場はほぼ24時間動いていますが、だからといって24時間トレードをし続ける必要はまったくありません。
苦手な時間帯にトレードしても成績が悪くなりますから、本当に自分が得意な時間帯のみエントリーするようにしましょう。
エントリーや決済に、うまく指値注文や逆指値注文を活用し、売買予約を入れるようにしましょう。
特にポジションを持っているときに、成行決済にこだわるとずっと相場から離れられないことになります。
OCO注文を活用して、利食いと損切りを自動化することで、相場に拘束される時間を減らすことができます。
成行?逆指値?FXの注文方法 6つの基本を紹介!
FXの注文方法には、基本の注文方法と、それらを組み合わせた応用的な注文方法があります。基本的な注文方法は、価格を指定しない成行注文•••続きを読む
この記事の執筆者
FXライター
鹿内武蔵
略歴
国内唯一の月刊FX情報誌、FX攻略.comの元副編集長として、2008年の創刊時より取材・編集・執筆に携わる。 多くの勝ち組トレーダーや証券会社を取材してきた経験を活かし、FXが国民的投資になることを目標に活動中。各種メディアでの執筆の他、トレーダーとしてFXの運用も行っている。 →エフプロ執筆者・監修者一覧