スイス中央銀行は、スイスフランの上昇を抑えるため、1ユーロ=1.20スイスフランに上限を設定していたが、2015年1月15日、なんの前触れもなく、この上限を撤廃すると発表した。その結果、スイスフランは急騰し、為替市場は大荒れとなった。これをスイスショック、またはスイスフランショックという。
対円では、115円台だったのが一気に162円まで急騰し、その後130円に下げる乱高下となり、市場は大きく動揺した。対ユーロでも30%高、対ドルで26%高となるなど、世界的な大変動となった。
当時、ヨーロッパの景気悪化に伴うスイスフラン買いが止まらず、そのためスイス中央銀行は、スイスフラン売り・ユーロ買いの為替介入を行っていたのだが、外貨準備高(とくにユーロ)が膨らみ続け、もはや介入を続けることができなくなったことが原因だといわれる。
スイス当局が為替介入を行っていたため、安心してスイスフランを売っていた投資家も多かった。そこに一気の急騰となったため、ロスカットが間に合わず、かなりの額の損失を被る投資家が相次いだ。さらに、その損失を支払えない投資家も多く、損失を建て替えなければならなくなったFX会社の破綻、経営難が続出したのである。
スイスショックは、当局の市場介入の限界が表面化し、市場原理の優位性を知らしめることになった。