アメリカの格付け会社で、S&P Global Ratingsと書く。旧社名Stand ard Poor‘sと呼ばれることもある。国や企業などの信用力を格付けし、AAA(トリプルエー)を最上位に置き、基本的にCが最下位となる。また、AAからCCまでの格付けには、+と-が付与されることがあり、これは相対的な強さを表している。格付け順位にすると、AA+(ダブルエープラス)、AA、AA-の順になる。BBB(トリプルビー)までが投資適格とされ、それ以下は投機扱いされる。
民間会社による、言ってみれば独断による格付けではあるが、市場に与える影響は非常に大きい。
2007年のサブプライムローン問題を契機にした世界金融危機では、それまでAAAだった債権を、数時間でジャンク格まで引き下げたことで、市場は大混乱となった。そのため、アメリカ議会で公聴会が開かれ、説明責任を問われる事態にまで発展した。それ以降、S&Pグローバル・レーティングは透明性や、監督と説明責任の強化をはかった。
こうして、現在でもS&Pグローバル・レーティングの格付けは、金融市場に大きな存在感を示している。
2020年のコロナショックでは、イタリア国債の格付けがBBBから格下げされて投機扱いになるのではないかと緊張感が高まったが、S&Pグローバル・レーティングがBBBに据え置いたことで、市場の動揺はとりあえず収まった。
ちなみに、2020年3月現在、通貨の格付けでAAAとなっているのはオーストラリアやカナダ、スイスなど11か国になる。アメリカはAA+、日本はA+である。
格付け会社には、アメリカのムーディーズやフィッチ・レーティングスなどもあるが、S&Pグローバル・レーティングほどの影響力はない。日本にも格付投資情報センターや日本格付研究所があるが、こちらは相場に影響を与えるだけの知名度はない。