一物一価の法則が成り立つときの二国間の為替相場を、購買力平価という。英語では「Purchasing Power Parity」といい、頭文字を取ってPPPと略されることもある。1921年、スウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルによって提唱された。
一物一価の法則とは、貿易障壁がまったくない世界では、国が違っても同じ製品の価格は一定になるはずだという理論である。
異なる国の間で、同じ製品を同じ価格で購入できる水準として算出するのが「絶対的購買力平価」で、2国のインフレ格差から時系列的に物価を均衡させる為替相場を算出するのが「相対的購買力平価」である。現在は、後者の相対的購買力平価を使うのが一般的である。
実際には、貿易障壁がまったくない世界などあり得ないので、一物一価の法則は成り立たないのだが、購買力平価の考え方の認知度が高いため、為替相場は長期的には購買力平価に沿って推移することが多いといわれている。
一般的には、為替相場が購買力平価から大きく乖離してれば、いずれ購買力平価の水準に戻るといわれる。また、為替相場が購買力平価より通貨高に乖離していると、輸出に不利であり、逆に通貨安に乖離していると、輸出に有利な状況であると判断される。