イギリスの通貨単位。ポンドの歴史は古く、8世紀のマレーシアで1ペニー硬貨が鋳造されたことを始まりとされている。ポンドの名の由来は、古代ローマの通貨リーブラ(天秤)からきており、通貨記号の£も、ラテン語のリーブラの頭文字である。
英ポンドと呼ばれるのが一般的だが、スターリング(Sterlimg/STG)、ケーブル(Cable/CBL)、クイッド(Quid)と呼ばれることもある。
第二次世界大戦以前は、基軸通貨として国際的に重要な役割を担っていたが、大戦後は米ドルにその地位を取って代わられた。1990年、イギリスは欧州為替相場メカニズム(ERM)に参加したが、東西統一を果たしたドイツでインフレが進むと、景気が低迷していたにも関わらずイギリスポンドは上昇した。そこにジョージ・ソロス率いるヘッジファンドが、ポンドを大量に売り浴びせると、イギリス当局はこの売り相場を支え切れず、ついにはERMからの脱退を余儀なくされる事態となった。これをポンド危機といい、イギリスがEUに加盟しながら独自の通貨政策、金融政策を取り続ける発端となったのである。
ポンドは、ユーロとの関連性が強い通貨で、対ドルより対ユーロの方が流動性が高い。ユーロが対ポンドで下落すれば、その勢いが強いほど、ポンドは米ドルなどの他通貨に対しても上昇する場合が多い。逆に、ユーロ圏の経済悪化を理由にしたユーロ安の場合、ポンドも下落するケースが多い。