個人消費支出デフレーターと訳され、英語ではPersonal Consumption Expenditure Deflatorと表記され、その頭文字を取ってPCEデフレーターと略される。アメリカ商務省が毎月末に発表する経済指標。
個人が、モノやサービスにどれだけ支出したかを示すもので、個人が消費した物価の変動を示す。消費者物価指数(CPI)と似ているが、CPIの調査対象が都市部の家計調査に基づいているのに対し、PCEデフレーターは、すべての個人と非営利組織が含まれ、より広い対象となっている。また、CPIがある商品の価格を対象にしている一方、PCEデフレーターは品目そのものを対象にしているため、より安い商品に消費が集まった場合、しっかり物価の下落方向へ反映されることになる。
2012年1月、FOMC(連邦公開市場委員会)がインフレターゲットを導入したとき、FRB(連邦準備理事会)は「PCEデフレーターで前年比2%の上昇率」を目標に設定した。このとき、FRBがはじめてPCEデフレーターの優位性を示したことで、PCEデフレーターが注目を集めることになった。
PCEデフレーターには総合指数とコア指数があり、FRBが重視するのは総合指数といわれているが、市場ではコア指数を注視しているようだ。コア指数は、すべての品目からなる総合指数とは違って、食料品とエネルギーを除いて算出されており、足元の物価動向を見極めやすいと言われている。コア指数が2%を超えてくると、利上げの期待感が高まる。
日本では、日本経済新聞社が発表する「日経ナウキャスト日時物価指数」(有料)がもっとも近い。