ニュージーランドのウェリントン、オーストラリアのシドニーの2つの市場の総称。ウェリントン市場は日付変更線にもっとも近い市場なので、1日の外国為替市場の起点となる。続いて、2時間後にシドニー市場が開く。NY市場が閉まった後で、アジア市場が開く前になり、世界の市場は月曜日のオセアニアから始まり、金曜日のNY市場で終わる。オセアニア市場は、基本的には参加者が少なく、流動性は低くなる。
しかし、すべての市場が休む週末明けのオセアニア市場の動向には注意しなければならない。週末にG7などの政治イベントがあったりすると、最初に取引が開始されるのがオセアニア市場になり、イベントの結果次第では、大幅なポジション調整やロスカットが発生する。流動性が低いため、値動きも激しくなり、アジア市場が開いた頃には想定外の値をつけていることもある。いわゆるオーバーナイトリスクの一種ともいえるが、とくに予定調和を読みづらい政治イベントがある場合、オセアニア市場の動きに引っ張られることがないよう、週末のポジションをいったん仕舞っておくことも考えた方が良い。
また、その流動性の低さから、投機筋が跋扈しやすい環境にあることにも注意する。投機筋にとっても流動性の低さはリスクなので、それほど目立つ動きはないが、2011年3月、わずか20分間でドル円が79円台から76円まで急落するということがあった。「魔の20分間」と言われた、この暴落を演出したのが、短期投機筋だったと言われている。