イギリスロンドン市場で、金のスポット価格を決定すること。ここで決定される金価格が、世界的な指標となる。金はドル建てで取引されるので、ロンドンフィキシングがドルの需給に影響を与えることもある。
また、現在では、銀行の対顧客取引の指標となる為替レートが公表される時間のことも、ロンドンフィキシングという。ロンドン時間16時(夏15時)で、日本時間では25時(夏24時)になる。フィキシングは英語のfixingで、固定、固着といった意味となる。金価格(為替レート)を決定することから、fixingという言葉が使われている。この時間をフィキシングタイム、決められたレートをフィキシングレートとも言う。
フィキシングレートは、取引日が決まっている投資信託の設定レートとして使われていることが多く、大口の取引が行われることもあり、ロンドンフィキシングの前後で相場が大きく動くこともある。また、月末月初には、決算を控える企業による為替のポジション調整があったり、それらを見越した投機筋が動いたりすることもある。このように、ファンダメンタルズを無視して相場が動くこともあるので、ロンドンフィキシングの数分前にポジションを決済する市場参加者も多い。
イギリスは、EUに所属していたときには、欧州経済領域(EEA)内で自由に営業をすることができるEUパスポートの制度下にあったが、ブレグジットによるEU離脱で、このパスポートが発行されるか不透明で、ロンドンフィキシングが今まで通り機能するのか、市場参加者の興味を引いている(2020年6月現在)。