日本の通貨単位で、通貨記号は\である。英語ではyenと表記される。
明治維新(1868年)当時、日本では通貨制度の確立が急がれていた。というのも、江戸時代の貨幣は、東日本の金貨幣と、西日本の銀貨幣の統一すらできておらず、金銀比価の差によって大量の金が海外に流出していた。そこで、1871年(明治4)に新貨条例が発効され、このとき円が誕生した。ちなみに、円の名がその形からきているというのは俗説であり、実際は、中国で発行されていた「銀圓(ぎんげん)」に倣ったものである(圓は“えん”とも読む)。
日本円は、円高に振れると株式は下落する反比例の関係にあるとされるが、これは、輸出業が日本経済を支えていた過去があるからだが、現在の日本の貿易収支が輸出に支えられているわけではない。しかし、円高が景気悪化を招くという考え方は今でも蔓延しており、実際、円高の局面で日本当局の為替介入が行われたりする。
また、日本円は世界的にリスクが高まると買われる傾向にあり、安全資産と言われることもある。2020年3月、コロナショックによる世界的な株価下落の局面で、日本株も下がっていながら、ドル円相場は一時、108円台から101円台に一気に円高へと振れたのである。