英語でInflationと書き、直訳すると「膨張する」。日本では、略して「インフレ」と呼ばれるのが一般的。経済全体の財や、サービスの価格、物価が継続的に上昇する現象で、すなわち貨幣価値の下落を意味する。物価の上昇率をインフレ率という。
インフレ率が一定の水準を超えてくると、各国の中央銀行は政策金利を引き上げるなど、金融引き締めを行って、景気の過熱感を抑えようとする。逆にインフレ率が下落すると、政策金利を引き下げて、物価の下落を食い止めようとする。インフレ率は政策金利への影響が大きいため、中央銀行の金融政策に注目が集まっているときなどは、消費者物価指数などの物価指数への注目度も高まることになる。
一般的には、景気の安定には2%程度のインフレ率が必要といわれており、とくにインフレターゲットを設定していない国でも、この辺りの数字は常に意識されている。
インフレーションが発生する原因はさまざまあるが、水準を超えるインフレーションは貨幣価値を一気に下落させ、国の信用をも貶める事態になりかねない。そのため、各国の中央銀行、とくにハイパーインフレを経験しているECBは、インフレ率の上昇に敏感に反応する。
新興国はインフレ率が高い傾向にあり、政策金利が先進国と比べて高く設定されることが多い。そのため、高金利を狙って新興国の通貨に投資をする人も多い。
また、金融市場でリスクが高まると、インフレ率の低い日本円やスイスフランに資金が集まるようになる。