同じ商品で、買いポジションと売りポジションの両方を持つこと。英語ではcross tradeと表記され、日本でもクロス取引と呼ばれることもある。両建ては売りと買いを同時に保有しているため、相場が上昇すれば買いポジションで利益が出るが、売りポジションで損失が発生し、両者が相殺されて、利益も損失も出ない状態になる。
かつては先物取引で、追加証拠金の発生を防ぐために、その場しのぎで両建てが行われることが多かった。両建てをしておいて、他の商品相場で利益を出してから、その利益分を使って両建てを解消しようという魂胆なのだが、総じてうまくはいかない。
両建ては無意味な取引であるとして、証券会社によっては両建てを禁止しているところもあるほどで、現在では経済的メリットが少ないものとされている。
FX取引では、先物取引のように限月(先物の期限が満了する月)の概念がないので、長期の買いと同時に、短期の売りで利益を出す両建てをしたり、年間利益が多すぎたときに節税のために利益を出さないように両建てをする市場参加者もいるようだが、基本的にはコストがかかるだけの無意味な取引である。