異なる通貨の元本を、決められたレートで一定期間交換し、それぞれの通貨に生じる変動金利を交換する取引のこと。ベーシスと略して呼ばれることもある。変動金利は、ロンドン銀行間取引金利であるLIBORを使うのが一般的。通貨の需給バランスを知る手がかりとなり、為替相場の方向性を探る手段として用いる人もいる。
日本円のベーシスを例にとると、たとえば日本の金融機関が、円を元手に米ドルを調達する場合にベーシスを利用する。しかし、日銀のマイナス金利政策により、アメリカが利上げをするたびに円のベーシススワップ・スプレッドはマイナスに振れることになる。つまり、米ドルの調達コストが上昇することになる。ちなみに、ドル円のベーシスは、2008年リーマンショック以降、ゼロから乖離する動きになっている。
ただ、ベーシスはあくまで「円を元手にドルを借りる」取引であり、米ドルを直接購入する為替取引ではないので、すぐさま為替相場がドル高に向かうわけではない。とはいえ、潜在的なドルの下支え要因にはなるので、為替レートにまったく関係ないということでもない。
2020年のコロナショックでは、世界的な経済の減速とデフォルトなどを意識した信用リスクの低下から、ドルの現金への回帰が高まった。そのため、ドル円ベーシススワップ・スプレッドは、マイナス方向へ大きく動き、ドルの需要が高まった。その後、金融市場のパニックが沈静化すると、今度は一気にプラス方向へ転じ、ドル不足からドル余剰へ動いた。