アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインが、1950年に発表した論文内で創作した経済用語。英語表記はBandwagon Effect。そもそもは、消費活動において、大勢の人が消費するものにさらに消費が集まったり、大勢の人が支持する商品に価値を感じるようになるという心理効果のことで、つまりは流行のことである。
バンドワゴン効果は、投資界にも適用される。現実の事実とは異なっていても、多くの市場参加者が特定の選択肢を選んだとき、相場が事実とは違う方向へ進み続けることは多々ある。こうした心理現象を、バンドワゴン効果と呼ぶようになった。バンドワゴン効果の最たるものは、当局の行う量的緩和であろう。「量的緩和=通貨安」という概念が市場に擦りこまれており、当局が量的緩和を行う、もしくは行うと発言しただけで、相場は通貨安へ進みやすい。2013年に行われた日本の「異次元緩和」では、わずか1ヶ月で80円台から100円台まで円安が進んだ。実際のところ、この異次元緩和で日本の景気が目に見えて浮揚したわけではなく、まさにバンドワゴン効果といえる。
また、投機筋の動きにつられて相場が一方向に動くのも、バンドワゴン効果の可能性がある。市場参加者から運用実績を認められているヘッジ・ファンドなどが、投機筋の代表格である。1992年9月、ジョージ・ソロス率いるヘッジ・ファンドによるイギリスポンド危機や、1997年7月に発生したタイバーツ危機からのアジア通貨危機などは、ある地点を過ぎたところからバンドワゴン効果が発生し、相場を加速させた。