目次
FXのトレード手法一覧!初心者向けのシンプルな手法はどれ?
冒頭で触れた通り、FXのトレード手法には取引期間が異なった4つの手法があります。
FXは「ポジションをどのくらいの期間保有するか」は個人の自由。決済するまでの時間が短い順に並べると、以下のようになります。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
- ポジショントレード
また「取引回数」や「取引時間」で比較すると以下のようになります。
この図を見ただけではそれぞれの特性は分かりにくいので、1つずつ特徴やメリット、デメリットを解説します。
最も短期のトレード|スキャルピング
4つある手法の中でスキャルピングは最もポジション保有期間が短く、超短期売買に分類されます。
「薄皮を剥ぐ」というインディオの古い風習が語源で、短時間のうちに薄い利益を積み重ねていく手法がスキャルピングと呼ばれるようになりました。
スキャルピングは「数pipsから10pips程度」の薄い利益を狙っていく手法で、ポジションを保有する期間は短い場合だと数秒、長くても分単位です。
pipsとは?
FXにおける値幅の単位は、pipsといいます。
例えば米ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円などの通貨ペアでは、1銭が1pipsです。
スキャルピングのメリット
スキャルピングのメリットは、ポジション保有期間が短いのでレートの大きな変動による影響を受けにくいこと。
また「相場を見ている時だけ取引する」という手法なので、相場を見ていない時に大きな損をしてしまう可能性がないことです。
特定の時間帯を得意としている(集中して取り組む時間を取れる)人であれば向いている手法といえるでしょう。
スキャルピングのデメリット
スキャルピングの一番のデメリットは、1回のトレードで取れる利益が少ないことです。
また、超短期売買なのでタイミングをわずかに逸しただけで利益を取り損ねたり、損をしてしまうこともあるため、トレード中は集中力と技術を要します。
スピード重視のトレードなので、FX会社の約定力や売買システムの性能に成績が影響を受けることもあります。
また、もう一点留意しておかなければならないのは、FX会社によってはスキャルピングを禁止していることです。
システムへの負荷などを理由にスキャルピングを禁止しているFX会社でスキャルピングを繰り返していると口座を凍結されるといった不利益を被る恐れがあります。
ポジションを翌日に持ち越さない|デイトレード
スキャルピングの次にポジション保有期間が短いのが、デイトレードです。略して「デイトレ」とも呼ばれており、4つのトレード手法の中では比較的シンプルな手法です。
デイトレードの最大の特徴は、1日のうちに決済をしてトレードを終了することです。
FXの1日は、日本時間の早朝7時から翌日未明の7時まで(欧米がサマータイムの時期は6時から翌朝6時)。
時差の関係でオセアニア市場のスタートから1日が始まり、米国ニューヨーク市場のクローズで1日が終わります。
デイトレードは最長で翌朝のニューヨーククローズまでしかポジションを保有せず、その日のうちに決済をするためポジションを翌日に持ち越しません。
デイトレードのメリット
デイトレードのメリットには、スキャルピングと似た部分があります。ポジションを1日で決済するため、利益も損失も「1日分の値動きの幅」に限定されます。
また、スワップポイント(金利差によって日々生じる利益または損失)が支払いになるポジションを保有していても、日をまたがなければ支払いは発生しません。
デイトレードのデメリット
デイトレードのデメリットは、「スワップポイントが支払いになることはない」ということの裏返しで、受け取ることもできないことです。
例えば2024年11月現在において、米ドル/円の買いポジションを持つと日米の金利差によってスワップポイントを日々受け取ることができますが、あくまでもそれは「ポジションを持った状態で日をまたいだとき」です。
デイトレードでは、スワップポイントの支払いも受け取りも発生しません。
数日~数週間単位での取引|スイングトレード
ポジションを数日から数週間単位で保有するのがスイングトレードです。
トレンドが発生している相場などで大きな値幅を狙うには、短期で決済をしてしまうよりもポジションを持ち続けて値幅を最大化する戦略が有効です。
そんな時にはスイングトレードが最適で、自分で見立てた相場観をトレードに反映しやすい手法といえるでしょう。
スキャルピングやデイトレードでは日をまたいでポジションを保有することはありませんが、日をまたぐことを前提にしているのもスイングトレードのひとつの特徴です。
スイングトレードのメリット
スイングトレードの一番のメリットは、大きな値幅を狙うため利益確定に成功した時は利益額が大きくなることです。
また、スキャルピングやデイトレードほどトレード回数が多くないため、スプレッドなど手数料コストが比較的高いFX会社であってもコストがあまり気になりません。
仕事が終わった後などにFXをする人の場合、相場をチェックしていられる時間は限られているはず。スイングトレードは頻繁に相場をチェックする必要がなく、時間的な余裕をもって取り組めるのも「副業派」にとって大きなメリットです。
スイングトレードのデメリット
一方デメリットは、スキャルピングやデイトレードに比べて取引する機会が少ないこと。
FXは経験値を積むことも成長要素の一つですが、スイングトレードは取引機会が少ないため経験値を積みにくい部分があります。
また、いくら含み益が増えたとしても決済するまで実際の利益にはなりません。短期売買のように着実に利食いをすることができないのもデメリットです。
スワップポイントも狙う長期運用|ポジショントレード
ポジション保有期間が最も長いのがポジショントレードです。
トレードの戦略にもよりますが、少なくとも数週間以上、長い場合は数年(場合によっては十年以上)にわたってポジションを保有して利益を狙います。
ポジショントレードのメリット
FXでは、金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買うポジションを持つと、金利差を調整するためのスワップポイント付与があります。
少なくとも数週間にわたってポジションを保有するポジショントレードでは、このスワップポイントも収入源として強く意識されます。
そのため多くの投資家は、スワップポイントを毎日受け取れる通貨ペアを選択します。
スワップポイントが受け取れる通貨ペアとは
日本円は主要通貨の中でも低金利で知られているため、日本円が絡むほとんどの通貨ペアで買いポジションを持つとスワップポイントが受け取れます(2024年11月現在)。
米ドル/円やポンド/円などでもスワップポイントが受け取れますが、トルコリラ/円・メキシコペソ/円・南アフリカランド/円といったペアも高金利のため人気となっています。
長期戦略なので
- 日々の値動きをあまりチェックする必要がない
- 保有するポジションによってはスワップポイントが貯まる
- レート変動以外の利益を狙える
など、ポジショントレードには特有のメリットがあります。
また、長期的な値動きによる利益を狙うため、大きな値幅を取れる可能性もあります。
ポジショントレードのデメリット
逆にポジショントレードには、思惑と逆の値動きになると大きな含み損を抱えるリスクがあります。
損切りの機会を逸してしまうことも多いため、証拠金が十分にない場合は強制ロスカットの可能性も高くなります。
また、保有するポジションによってはスワップポイントが受け取りではなく支払いになるため、それが長期間になると大きな支払い金額になります。
FXの手法ランキングを3,000人調査から決定!初心者向けのトレード方法は?
当サイトではFXトレーダー3,000人を対象とした調査を実施し、それぞれのトレーダーの取引手法に関して質問しました。
さっそく調査結果を見てみましょう。
調査結果PDF:FXトレーダー3,000人調査結果
順位 | トレード手法 | 初心者向け |
---|---|---|
1位 | デイトレード | ◎ |
2位 | スイングトレード | ◎ |
3位 | ポジショントレード (スワップトレード) |
△ |
4位 | スキャルピング | △ |
5位 | 不明/その他 | - |
6位 | 自動売買 | ○ |
3,000人の現役FXトレーダーにアンケートをとったところ、半分以上の人が
- デイトレード
- スイングトレード
のトレード手法をメインで採用してますね。
外為どっとコムやみんなのFXのような公式サイトでも、この2つのトレード手法は初心者トレーダー向けにおすすめしてます。
FXトレード歴ごとに分類すると全体と違う結果が...?
全体だとデイトレードとスイングトレードの割合が多かったのですが、FXのトレード歴ごとで見てみるとまさかの違った結果になりました...!
本調査では、以下のパターンのFXトレード歴で分類してます。
本調査でのFXトレード歴の選択項目
- 1年未満(回答者=439人)
- 1年以上3年未満(回答者=667人)
- 3年以上5年未満(回答者=608人)
- 5年以上10年未満(回答者=545人)
- 10年以上(回答者=741人)
気になる調査結果はこちら。
3,000人アンケートからわかった調査結果
- FX歴1年未満では上級者向け手法の「スキャルピング」がまさかの1位
- FX歴1年〜5年未満では「デイトレード」が最も人気
- FX歴に比例して、「スイング/ポジショントレード」の割合が増加
- FX歴1年未満の初心者はトレード手法が明確ではない人が24%もいる
- 自動売買はFX歴が長くなるにつれて割合が減っている
これらの調査結果を総括すると...
最初はデイトレードやスキャルピングで試してみて、慣れてきたら中長期運用の「スイング/ポジショントレード」に移行する傾向がありそうです。
上級者向けのトレード手法であるスキャルピングがまさかのFX歴1年未満部門で1位でしたが、おそらく自身の取引手法があまり定まっていない人がとりあえず始めてみたのでは?...と推測します。
そのため、FX初心者の方はまずは以下の2つをトレード手法として始めた方が無難かもしれないですね。
- デイトレード
- スイングトレード
FX手法において基本となる考え方は2パターン
FXのトレード手法においては、大きく分けて2つの基本となる考え方があります。
順張りと逆張りです。
この2つの作戦は考え方が真逆なので、それぞれの特徴を解説します。
今後も相場の流れは変わらないと予想したら「順張り」
相場が上昇もしくは下降している途中で、まだその流れが続くと見た場合には流れに沿った新規エントリーが有効です。
上昇トレンドの最中であれば買い、下降トレンドの最中なのであれば売りといった具合です。こうした新規エントリーを、順張り(じゅんばり)といいます。
順張りとは、価格が上昇トレンドのときに「買い」、下落トレンドでは「売り」をする取引方法です。
以下は、米ドル/円の2021年12月から2022年11月までの日足チャートです。
2022年は歴史的な円安ドル高相場となったため、3月頃から強い上昇トレンドが何度も発生しているのが見て取れます。
この黄色矢印のところでは買いの順張りエントリーが有効でした。
矢印が始まった部分(上昇トレンドが始まった部分)で買いの新規エントリーをした投資家は、米ドル/円の上昇で利益を得られたはずです。
このように順張りはトレンドが発生していることを確認できている相場で有効性が高く、相場のトレンドを味方につける手法といえます。
今後は相場が反転すると予想したら「逆張り」
順張りと対極にある作戦が、逆張り(ぎゃくばり)です。
逆張りは相場がまもなく反転することを見越して安値での買いや高値での売りで新規エントリーをして利益を狙います。
この逆張りについても実際のチャート画面を用いて解説しましょう。
以下は、上記と同時期の米ドル/円日足チャートです。
年間を通じて強い上昇トレンドが発生しているものの、途中で何度か下げている部分があります。
「上昇トレンド」とはいっても、実は一本調子で上げていくわけではありません。
多くの投資家が利益確定をしたり、大きなニュースなどによって一時的に下げる場面が見られ、それを「押し目」といいます。
以下のチャートを見ると、2022年の11月までに少なくとも3回押し目があったことが分かります。
3つの丸印をつけたあたりでは、一見すると「上昇トレンドが終わり、これからは下降トレンドが始まりそう」のようにも見えます。しかしこれは、結果的には上昇トレンドの中の「押し目」でした。
ここでは下降トレンドだと予想した順張り(売り)ではなく、米ドル/円が下げてくることを踏まえて逆張り(買い)の注文を入れていた投資家が有利になりました。
下げたところで安く買い、その後上昇トレンドを再開したことで差益が発生したからです。
逆張りはこのように押し目買いの際にも有効ですが、それ以外にも「レンジ相場」といって一定の範囲内に収まる値動きをしている場合に、上下それぞれで逆張りをして利益を狙っているという手法もあります。
FXで利益を出すために重要なのは明確な売買ルールを自分で作ること
とても大切なことなので最初に述べますがFXで「絶対勝てる必勝法」はありません。
初心者はどうしても「確実に勝てる方法」を求めるものですが、残念ながらそのような都合のいいものはありません。
勝っているFXトレーダーと負けている人の違い
しかし、FXの世界には勝っている(最終的な損益をプラスにできる)投資家とそうではない投資家がいます。その違いはいったい何でしょうか?
継続的に利益を上げている投資家に共通しているのは、明確な売買ルールがあることです。
その売買ルールは経験や勉強を経て自分で編み出したもので、その売買ルールが有効に機能している投資家は継続的に利益を上げることができています。
つまり、FXの「手法」とは、取引の理由を明確にすることといってもいいでしょう。
- なぜそのレートで新規エントリーをするのか
- なぜそのレートで決済するのか
このルールが明確になっていない投資家は根拠のない勘や運任せになってしまい、たとえ勝ったとしてもなぜ勝てたのかが分かりません。
逆に負けた時も理由が分からないので、何度も同じ失敗を繰り返してしまいます。
FXで利益を出せるようになるためには、必勝法を探し求めるのではなく「勉強や経験によって自分の売買ルールを確立しようとする姿勢」が大切です。
言い換えればこれが、FXで勝つ唯一の「手法」かもしれません。
損切りもリスクを最小限にするための手法
思惑通りの値動きにならなかった時に損切りをするのも極めて重要です。
どんな上級者であっても勝率100%はあり得ず、勝ったり負けたりするのがFXです。「損小利大」といって、損を最小限に抑えつつ利益を最大化して、トータルで勝つのがFXの本質です。
損失を確定させたくないあまりに含み損を抱えたポジションをいつまでも持ち続けていると、強制ロスカットなどによって資産の大半を失うリスクがあります。
資金の大半を失って「一発退場」になるのは最も避けるべき展開なので、適切な損切りは生き残るために欠かせない手法の1つです。
FXでの分析手法は大きく分けて2つ!初心者だったらテクニカル分析がおすすめ
相場がこれからどう動くのかを予測し、それをトレードに反映するのがFXで勝つための基本です。
相場を分析する手法には、大きく分けて2つの種類があります。1つがテクニカル分析で、もう1つがファンダメンタルズ分析です。
FX初心者であれば、まずはテクニカル分析から実践してみるのが良いですが、これまで紹介した4つのトレード手法ごとによって最適な分析手法を見つけることが重要です。
分析手法 | 相性の良いトレード手法 |
---|---|
テクニカル分析 | デイトレード スキャルピング(短期売買) |
ファンダメンタルズ分析 | スイングトレード ポジショントレード(中長期売買) |
テクニカル分析
テクニカル分析はチャートを用いて今後の値動きや相場の強弱感などを分析する手法です。
また、チャート上にトレンドラインなどの線を引いて相場を分析する投資家もいます。
テクニカル分析は多くの投資家が実践している手法なので、FX会社はチャートツールの充実を図っており、チャートの性能や使い勝手はFX口座を選ぶ重要な判断材料です。
中には相場分析手法の1つであるダウ理論や移動平均線を使った代表的なトレード理論の1つとしてグランビルの法則というトレード手法もあります。
FXではローソク足を使ったチャート分析が重要
上記の図にあるのがローソク足で、こんな形のローソク足が並んでいるチャート画面を見たことがある方は多いのではないでしょうか。
1本のローソク足には多くの情報が詰め込まれていますが、そのローソク足が並んでいるチャートからも実に多くの示唆を読み取ることができます。
多くの投資家がチャート分析を行っているため、チャート上に表れた示唆によって多くの投資家が同じ方向に動き、それが相場を動かすこともしばしばです。
また、ローソク足には時間の長短によってさまざまな「足」があります。
- 1時間の値動き:1本のローソク足で示しているのが1時間足(60分足)
- 1日の動き:日足(ひあし)
- 1週間の動き:週足(しゅうあし)
先ほど4つのトレードスタイルを紹介しましたが、ポジション保有期間の長短によって、多用するローソク足も異なります。
最も短いスキャルピングであれば1分足や5分足、デイトレードであれば1時間足や4時間足などを用いることが多いといったように、トレードのスパンによって最適なローソク足があります。
ただし、短期売買であっても日足など長い足で相場の大きな方向性を見極めつつ、短い足で売買のタイミングを探るといった手法を用いる投資家は多く、長さの異なるローソク足をうまく使い分けるのも重要なテクニックです。
ファンダメンタルズ分析
テクニカル分析がチャートを用いた統計学的な分析手法であるのに対し、ファンダメンタルズはそれぞれの通貨を発行している国の経済政策や政治的なニュースから相場を分析する手法です。