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まず「FXはやめとけ」と言われる理由の一つには「理解不足」もある
インターネットで検索してみると、FXに対して「やめとけ」という意見も数多く見かけます。
こうしたネガティブな情報に触れると「FXは怖いのではないか、やめておいたほうがいいのではないか」と思ってしまいがちですが、「FXはやめとけ」という主張をよく見ると、以下の2種類に集約されます。
- 誤解や理解不足に基づく憶測
- 事実に基づく正しい指摘
後者の事実に基づく指摘については耳を傾ける必要がありますが、厄介なのは十分な知識がないと前者(憶測)と後者(正しい指摘)の区別がつきにくいことです。
そこで、まずは前者の誤解に基づく憶測で語られている「FXはやめとけ」論のありがちなパターンを3つ紹介します。
FXに対してギャンブルや投機のイメージを持っている人も多い
安い時に買って高くなったら売るか、高い時に売って安くなった時に買い戻すのが、為替差益(FXでの利益)を狙う主なパターンです。
未来の為替レートを100%言い当てることができる人は存在しないので、「それなら予測できない未来にお金を賭けるギャンブルと同じだ」という意見があります。さらに言えば、「レートが上がるか下がるかの二択なので丁半バクチと同じだ」とする意見もあります。
これらの意見はもっともらしく聞こえますが、実は重大な視点が抜け落ちています。ギャンブルは常に運任せであるのに対して、FXはチャート分析やファンダメンタルズ分析などの方法論がいくつも確立されており、それらを勉強・習得することで勝率や利益率を高められる点です。
もちろん投資も、何も勉強をせず運任せの取引をしていればギャンブルのような状態になります。しかし決して「すべての人がそうなってしまう」わけではありません。
真面目に取引のやり方を勉強することで、運任せのギャンブルから脱却できるわけです。
「誰しも巨額な損失を出す危険がある」というイメージを持っている人も多い
インターネットの世界には「FXで短期間で大きな利益を手にした」といった武勇伝を目にする一方で、「一夜にして数百万円、数千万円を失った」といった大損話も飛び交っています。
これらの話を見聞きして「自分にも起こり得るのではないか」と不安に感じている人もいるかもしれませんが、これに関しては極端な話が独り歩きをしている感は否めません。
例えば現在、ほとんどのFX会社では「1,000通貨単位」での取引が可能ですが、1,000通貨単位で取引している場合、1円(100pips)幅の負けが確定したときの損失額はマイナス1,000円です。たとえ、その10倍にあたる10円(1,000pips)幅で負けたとしても、マイナス1万円です。
10円幅の負けというと、米ドル/円が140円の時に買いポジションを建て、それが130円にまで暴落した時の値幅に相当します。FXでこれだけの値幅で負けることは「大負け」といっていいレベルですが、そんな稀なケースであっても1,000通貨のトレードであれば損失額は1万円だというわけです。
つまり、大損の話に登場するようなケースは、取引量もそれだけ多かった場合ということです。1,000通貨のように少額で取引していれば、損益額も取引量に比例して少なくなります。FX会社によっては、100通貨、1通貨で取引できるところもあります。
そもそも、FXには強制ロスカットの仕組みがあります。含み損が大きくなって資金的な余裕が少なくなってくるとFX会社のルールによって強制ロスカットが発動され、それ以上の損失拡大を自動的に防いでくれます。
強制ロスカットが発動しても口座の残高がゼロになるわけではないですし、強制ロスカットが発動する前に自分で損切りの注文を入れておくことも可能です(むしろそれがトレーダーとしては当然です)。
ですので「一夜にして何百万円も失う」といった事態が「すべての人に等しく起こり得る」という認識は間違いと言っていいでしょう。
FXをやることによって「誰もが大きな損失を被る」というのも、多くの人が抱えているFXに対する誤解のひとつです。
「レバレッジ」の仕組みも誤解されがち
FXにはレバレッジの仕組みがあります。これは投資効率を高めることができる仕組みですが、このレバレッジについても「損失が倍々ゲームのように大きくなる」という誤解があります。
これについてはレバレッジを「10倍」「25倍」というように、倍数で表記することにも原因があります。レバレッジの概念は、実際にトレードを経験してみないとつかみにくいかもしれません。
レバレッジ1倍で1,000通貨をトレードした場合と、最大レバレッジの25倍でトレードをした場合の損益額は同じです。上で解説したように、1,000通貨で取引しているときに1円幅の値動きがあったら、損益額は1,000円です。レバレッジが何倍であっても、損益額は取引量だけに比例します。
レバレッジというのは単に証拠金と取引量の比率であり、レバレッジをかけたとしても損益が大きくなるわけではないというわけです。
ただし、証拠金に対して取引量が大きいと、損失が出たときに「資金を減らす割合」は多くなります。「レバレッジが高いと、損失が出た時のダメージが大きくなる」というわけです。
ここまでしっかりと理解しているわけではなく、ただ単に「25倍で取引しているなら損失も25倍になるのだろう」と想像しているケースもあるので注意が必要です。
もちろん「FXはやめとけ」という主張には事実も含まれている
「FXはやめとけ」という意見についてありがちな誤解を紹介しましたが、もちろん誤解ばかりではありません。事実やデータに基づいて「FXはやめとけ」と言っている指摘もあるので、ここでは知っておくべき3つの事実について解説します。
半数以上の人が資金がマイナスになり、退場する人も多い
実際にFXをやっている人のうち、半数以上が負けていることがうかがえるデータがあります。
一般社団法人金融先物取引協会が発表している店頭外国為替証拠金取引(FXのことです)の「預託金増減口座数割合情報」では、残高が減少している口座の割合がおおむね毎年5割から6割程度あります。それに対して増加している口座は4割から5割程度なので、「半数以上の人が負けている」ことがわかります。
また、FXを始めたもののすぐにやめてしまう人も少なくありません。1年以内にFXをやめてしまう人も相当数いると言われています。
短期間でやめてしまう理由は損をしたからだと思われますが、軽い気分で始めてみたもののうまくいかなかったという展開は、容易に想像がつきます。特に勉強もせずに始めても簡単に勝てるものではないということは、十分理解しておく必要があるでしょう。
利益を出せるようになるまでには時間がかかる
先ほど、特に勉強もせずに始めても簡単に勝てるものではないと述べました。FXに限ったことではありませんが、安定的に利益を出すには勉強や経験が不可欠です。
勉強したからといってすぐに勝てるわけではありませんし、失敗も経験しながら腕を磨くことで次第に勝率が高くなっていくのがFXです。
自分の勝ちパターンを構築し、それを常に修正し続けること以外にFXで安定的な利益を上げる方法はありません。その段階に到達するには時間を要しますし、人によっては数年かかることも珍しくありません。
証拠金以上のマイナスが出る可能性もゼロではない
FX会社が強制ロスカットの仕組みを設けているのは、相場の逆行が進んで損失が大きくなりすぎないようにするためです。
しかしながら、あまりにも急激に相場が変動した場合には「ロスカットが間に合わない」というケースも起こり得ます。その場合に限り、預け入れている資金よりも多くの損失が発生することがあります。
きわめて稀なケースではありますが、その可能性がゼロではないことは留意しておくべきでしょう。
ただし、証拠金以上の損失を防ぐための対策もあります。
それは、流動性が高く(取引量が多く)、極端な値動きが起きにくい通貨ペアを選ぶことや、相場の急変が起きやすいタイミングでトレードをしないようにすることなどです。
適切にリスク管理をすれば危険性を大幅に減らせますので、「人災」を起こさないように徹底しましょう。
FXをやめておいた方がいい人の特徴4つ
誤解と事実、それぞれの角度から「FXはやめとけ」と言われている理由を解説しました。
これらを読んで「はたして自分はやって大丈夫なのか、やめておいた方がいいのか」と迷っている人もいることでしょう。
性格や資金の出どころなどにおいて、FXをやめておいたほうがいい人にはいくつかの特徴があります。ここでは4つの「やめた方がいい人」を解説しますので、ご自身に当てはまる部分がないか自問自答してみてください。
- 生活に必要な資金や借金を元手にFXをしてしまう人
- 一獲千金を夢見ている人
- FXをギャンブルと捉えており勉強などしたくない人
- 副業のように安定的な収入を必要としている人
生活に必要な資金や借金を元手にFXをしてしまう人
投資に使ってもよいのは余剰資金のみ。
これはFXに限らず、株や暗号資産なども含め「投資の鉄則」です。生活に必要なお金を投資資金にしてはいけませんし、借金で投資をやるのは論外です。理由は言うまでもありませんが、投資の結果が思い通りではなかった時にお金に困ることになってしまうからです。
また、今は使う予定がなくても将来使う予定があるお金も投資に使ってはいけません。そのお金が必要になった時にポジションが塩漬け状態になっていてすぐに現金化できない可能性があるため、投資資金に使えるのは「当面、使う予定がないお金」だけです。
FXは数万円程度(会社によっては数百円程度)の資金でも始めることができるので、その意味では始めるためのハードルは低いといえますが、いずれにせよ「生活に必要なお金を使ってはいけない」というのは大原則として理解しておきましょう。
一獲千金を夢見ている人
FXで大きな利益を手にした話を見聞きすると、誰しもFXで一獲千金の夢を見てしまうものです。しかし、そもそもFXは一獲千金を狙うような投資ではなく、勝ち負けを繰り返しながらトータル収支をプラスにするのが本質です。
成績優秀な熟練のFXトレーダーでも勝ち続けているわけではなく、短期間で資産が何倍にもなるといったことは稀です。コツコツと資金を増やし続けることで大きな資産を築ける可能性はありますが、一夜にして大金が転がり込むような夢は見ないようにしましょう。
FXは25倍までレバレッジをきかせることができるため、少ない資金でも大きな利益を得られるチャンスはあります。しかしリスクの高いトレードを繰り返していると「一発退場」の可能性もあり、お金を増やすどころか大きく減らしてしまうことになります。
FXをギャンブルと捉えており勉強などしたくない人
FXをギャンブルのように捉えている人も、FXをすべきではありません。
「上か下か」の2択から運だけで的中を狙うギャンブルであれば「丁半バクチ」と同じですが、運だけで勝ち続けられるほど甘い世界ではないことは、上で解説した「口座資金を減らしている人の割合」からもわかるでしょう。
FXがギャンブルと異なるのは、チャート分析などを勉強して経験を積むことで勝率を高めていくことができる点です。裏を返せば、安定的に利益を出せるようになるためには勉強や経験が必須なのです。
勉強や経験に関心がなく「楽に稼ぎたい」「勝ちやすいギャンブルはないだろうか」などと考えている人はFXに不向きです。
副業のように安定的な収入を必要としている人
サラリーマンなど本業がある人の中には、FXを副業のように捉えている人は多いかもしれません。
本業以外の収入を求めてFXを始めること自体に問題はありませんが、「毎月〇万円は絶対に得たい」といったように安定的な収入源として期待するのは適切ではありません。
相場は投資家の思惑通りに動くものではなく、利益を上げられるチャンスがどれだけあるか、そのチャンスをどれだけ利益につなげられるかは未知数だからです。
年間を通した収支から「毎月の平均利益」を算出することはできますが、それはあくまでも平均です。月によってはプラスではなくマイナスになっている時もあるのがFXなので、FXに安定的な収入を求めるのは危険です。
どうしても「毎月〇万円」といったような副収入が必要なのであれば、FXではなくアルバイトなど労働を伴う副業をするほうが確実です。
FXは本当にやらない方がいい?他の投資と比較
FXをしないほうがいい人物像について解説しましたが、自問自答してみた結果はどうだったでしょうか。当てはまるものが1つもなければ、FXを始めてもリスクは比較的低いと考えられます。
そこで次はこれからFXを始めてみようと考えている人に向けて、株など他の投資と比べてFXのメリットとデメリットといえる部分についてそれぞれ解説します。
FXのメリット5つ
- 少額から始められる
- 平日のほぼ24時間取引可能
- 上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙える
- スワップポイントによる金利収入がある
- 他の投資と比較して取引コストが安い
①少額から始められる
FXにはレバレッジの仕組みがあるので、少額であっても最大25倍規模までの取引が可能です。多くの会社では10万円以下の資金でも十分始められるので、広く門戸が開かれています。
②平日のほぼ24時間取引可能
株の取引が可能なのは、原則として証券取引所の取引時間のみです。
東京証券取引所(東証)の場合は平日の9時から15時まで。15時以降は東証での売買ができませんが、FXは平日のほぼ24時間いつでも取引が可能です。昼間は仕事が忙しい人でも夜に本格的なトレードができるのは、FX特有のメリットです。
また、取引時間が長い分だけ利益を狙えるチャンスも多くなります。
③上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙える
FXは買いと売りの条件が全く同じなので、上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙えます。
株の場合は「安く買って高く売る」のが基本です。売りからのエントリーをする「カラ売り」という仕組みもあるにはありますが、カラ売りは買いと条件が異なるため誰もができる手法ではなく、FXのような柔軟さはありません。
④スワップポイントによる金利収入がある
レート変動による為替差益を狙うのがFXの基本ですが、金利の異なる通貨間で調整をするために受け渡されるスワップポイントもFXの収入源です。
金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買うポジションを保有すると毎日スワップポイントが付与されるため、ポジションを保有しながら長期間にわたってスワップポイントを受け取り続ける投資スタイルも可能です。
⑤他の投資と比較して取引コストが安い
ほとんどのFX会社は取引手数料が無料で、スプレッドと呼ばれる売値と買値の差が実質的な手数料です。
このスプレッドについてもFX会社同士が激しく競争をしているため米ドル/円であれば0.2銭や0.3銭といったようにコストが安いFX会社がほとんど。
取引コストが安いことは利益を残しやすいだけでなく、デイトレードやスキャルピングといった短期売買を繰り返す投資スタイルでも不利になりにくいメリットがあります。
FXのデメリット3つ
- 相場の急変動によって短時間に大きな損失を出す可能性がある
- レバレッジを大きくしすぎると証拠金を危険にさらしてしまう
- 稀に証拠金以上の損失が出るケースがある
①相場の急変動によって短時間に大きな損失を出す可能性がある
外国為替市場では、重大なニュースによる影響や仕掛け的な売買などにより、急に大きな値動きをすることがあります。相場の急変によって想像以上の利益が出ることもありますが、その逆に予想外の損失を被る可能性もあります。
②レバレッジを大きくしすぎると証拠金を危険にさらしてしまう
レバレッジは投資効率を高められる有用な仕組みですが、だからといってレバレッジを高くしすぎて資金的余裕のないトレードをしていると、資金の大半を失うリスクと隣り合わせになります。
③稀に証拠金以上の損失が出るケースがある
すでに解説している通り、相場の急変動によってFX会社の強制ロスカットが間に合わず預け入れている証拠金以上の損失が出ることがあります。
ごく稀なケースではありますが、可能性がゼロではないのでデメリットとして留意しておいてください。
初心者におすすめFX会社3選
ここまでの解説を読み、少し不安な気持ちを抱えつつも「FXをやってみようかな」と思っている人もいることでしょう。
そんな「少し不安を抱えつつ」の人におすすめのFX会社を紹介します。
総合力が高く多くの人に支持されているGMOクリック証券
初めてFX会社を選ぶときに「信頼できる会社を選びたい」「利用している人が多い大手を選びたい」と思っている人も多いのではないでしょうか。そんな人におすすめなのがGMOクリック証券です。
GMOクリック証券は、FX口座数78万以上(2023年3月時点)の規模を誇る業界大手。つまりそれだけ多くの人が利用している会社だということです。
大手だけにサービスのスペックでも総合的に優れており、取引ツールも扱いやすいと定評があります。また最小取引単位は1,000通貨なので、少額取引も可能。「まずはどこか定番のところで始めたい」と思っている人におすすめです。
公式サイトはこちら少額からFXを始めることができるSBI FXトレード
SBI FXトレードは、最小取引単位が業界最小の「1通貨」です。1通貨というのは、つまり米ドルでいえば1ドルなので、2022年現在の相場でいえば140円ほど。レバレッジをきかせればもっと少額からでも取引が可能です。
この記事の上の方で解説したとおり、FXの損益額は取引量に比例します。1通貨の取引をしているときに1円幅の負けトレードをした場合、損失額は「1円」です。利益が出た場合も同様なので魅力的な利益は狙えませんが、「とにかく最初はリスクを下げたい」という人にはおすすめの会社といえるでしょう。
公式サイトはこちらハイレバレッジにならない設定も選べるGMO外貨
GMO外貨には「レバレッジコースを選べる」という特徴があります。日本のFX会社はすべて最大レバレッジが25倍となっていますが、GMO外貨では「1倍・10倍・25倍」の3つから選択が可能です。
仮に1倍に設定しておくと、レバレッジを効かせた取引ができなくなるので「つい熱くなってハイレバレッジの取引をしていた」という状態にならないようにできます。
レバレッジに対して怖いイメージを持っている人は、GMO外貨がおすすめです。
公式サイトはこちら「FXはやめておけばよかった」とならないように初心者が注意するべきこと
FXでコンスタントに利益を上げられるようになるには一定の時間を要しますが、それ以前の段階で「始め方」のまずさゆえの失敗は避けたいところです。
FXには正しい「始め方」があるので、ここでは第一歩で失敗してしまわないために注意すべきことを4つの項目で解説します。
- 日本の金融庁に登録されたFX会社を選ぶ
- 本やデモトレードで勉強や取引の練習をする
- 余剰資金で少額取引から始める
- 自分なりの取引ルールを持ち、損切りができるようになる
日本の金融庁に登録されたFX会社を選ぶ
まず大前提として、FXを始める際には日本の金融庁に登録をしている業者の口座を選びましょう(当メディアに紹介しているFX会社は、すべて金融庁に登録されています)。
注意すべきなのは、金融庁に登録されていない海外の会社を選んでしまうことです。
FXは世界各国の通貨を売買する投資なので、FXを取り扱っている業者は日本国内だけでなく世界中にあります。海外FX会社は、日本のレバレッジ規制である25倍以上のレバレッジを売り文句にして、日本語でサービスを提供しているところもあります。そういった会社も、ネットを通じて手軽に取引を始めることができてしまいます。
しかしながら海外のFX業者は日本の金融庁に登録されておらず、会社としての実体が不明瞭な業者も少なくありません。
さらに海外FX業者では出金トラブルが頻発していることや、経営破綻など何かあった時に資金を回収できず泣き寝入りになってしまうなどの高いリスクがあります。
このことは金融庁も注意喚起をしており、何かトラブルが起きた際にも国による救済は期待できません。
本やデモトレードで勉強や取引の練習をする
FXで早くお金を増やしたいと思うあまり、いきなりリアルマネーを使ったトレードをする人がいますが、これはおすすめできません。真面目に勉強をする必要性はすでに解説した通りですが、その勉強にあたっては信頼性の高いサイトや本など質の高い情報源を活用し、十分に知識を得てからトレードを始めるようにしてください。
また、FXにはデモトレードといってリアルマネーを使うことなくFXトレードを体験できる仕組みがあります。多くのFX会社が自社の取引システムを体験してもらうためにデモトレードを無料で提供しているので、これを利用してFXトレードの操作方法や利益・損失が生まれる過程などを十分体験してからリアルマネーを用いたトレードに進みましょう。
余剰資金で少額取引から始める
取引量が多ければ勝った時の利益が大きくなりますが、逆に損失を出した時のダメージも大きくなります。デモトレードを卒業した後もいきなり高額での勝負に挑んだり、生活費など使ってはいけないお金を投じないようにしましょう。
初心者が軽い気分で行った1回目のトレードで「一発退場」になってしまってはFXを始める意味がないので、「最初は少額から」「投じるのは余剰資金のみ」、この2点を徹底してください。
自分なりの取引ルールを持ち、損切りができるようになる
FXはギャンブルではないので、トレード技術を磨くことで勝率を高められます。運任せのトレードではなく、自分なりに相場を分析し、売買注文を出すには“理由”を見出してください。そして、そのトレードで描いた戦略や見通しが外れた場合は負けを認めて、粛々と損切りをすることが重要です。
あわせて、なぜ今回のトレードが失敗だったのかを検証し、それを次のトレードにいかします。
優秀なFXトレーダーほど失敗を繰り返しながら自分流の取引ルールを構築し、常にそれを修正し続けています。地道な作業ですが、これがFXトレーダーとして成長する最短ルートです。
「FXはやめとけ」に関するよくある質問
最後に、「FXはやめとけ」という意見に関して、よくある質問をまとめました。
「FXで莫大な借金を背負った」という話は本当にありますか?
世の中には「FXの損失で大きな借金を背負ってしまった」という事例は実在します。しかしこうした事例には「そもそも借金を元手にFXをしていた」というケースも含まれています。これはもう「借金を元手に競馬をしていた」というケースと同様で、負け続ければ借金がどんどん膨らみます。
またそれ以外の場合も、リスクの高い通貨ペアを資金量に見合わない取引量でトレードしたといったように「人災」であることがほとんどです。
すでに解説しているとおり、FXの損益は取引量に比例するので、取引量を過度に大きくしなければ大きな損失を被ることはありません。初心者は1,000通貨単位でのトレードを推奨していますが、1,000通貨のポジションであればレートが10円逆行しても損失は1万円です。10円も逆行をしている場面ではすでに損切りをしている可能性が高く、1万円の損失を被る可能性は低いでしょう。
以下の点を徹底すれば、FXで莫大な借金を背負ってしまうことはありません。
- 借金を元手にトレードはしない
- リスクの高い通貨ペアは避ける(相場の急変時に強制ロスカットが間に合わないことがある)
- 資金量に見合わない取引量のトレードはしない
証拠金以上のマイナスが出る可能性はどのくらいありますか?
外国為替市場ではごく稀に、通常の値動きからは考えられないような急変動が起きることがあります。
有名なのは2015年1月の「スイスショック」や2018年8月の「トルコショック」でしょう。これらのショック相場では短時間に数百、数千pipsの値動きが起き、損切り注文だけでなくFX会社による強制ロスカットが間に合わず、預け入れていた証拠金以上の損失を被る投資家が出たことがわかっています。
どちらも稀なケースではありますが、過去に事例がある以上、証拠金以上の損失が出る可能性はゼロではありません。
ただし、これらはどちらも「スイスフラン/円」や「トルコリラ/円」といった、決してメジャーとはいえない通貨ペアで起きたことも注目すべきポイントといえるでしょう。米ドル/円やユーロ/ドルなどのメジャーな通貨ペアで、数千pipsが瞬時に動くという可能性は、かなり低いと考えられます。
もちろん相場に「絶対」はありませんが、証拠金以上の損失を回避するには、米ドル/円やユーロ/ドルといった取引量の多いメジャーな通貨ペアを選ぶことや、相場が大きく動きそうな時間帯を避けるといった対策が有効です。
FXに関連する詐欺とはどのようなものですか?
FXを始める目的は、お金を増やすことです。その投資家心理につけ込んで、FXの周辺にはさまざまな詐欺の事例があります。
代表的なものには「必ず儲かる」との触れ込みで無価値な自動売買ツールや教材、商材などを売りつける悪質商法があります。運用をプロに任せて高い利回りが得られるとして顧客から資金を集め、実際には運用せずに持ち逃げするといった荒っぽい手口もあるので、目先の欲に目がくらんで怪しげな話に騙されないようにしましょう。
FXに必勝法は存在せず、地道な勉強と試行錯誤を繰り返して自分流の取引ルールを確立する以外に勝てる方法はありません。まずは第一歩として「FXに必勝法はない」ことをしっかり理解しておきましょう。
少額で取引していればリスクは抑えられますか?
すでに何度か述べているように、FXの損益規模は取引量に比例します。少額でFXトレードをすれば取引量も少なくなるため、大損をするリスクを抑えることができます。
FXを始めたばかりで大損をすることに抵抗があるのであれば、1,000通貨単位など少額から始めることをおすすめします。レートが1円動いても損益は1,000円、10円動いても1万円です。少額トレードは利益も小さいですが、リスクの低い環境でトレードの経験を積むことには意義があります。
この記事のまとめ
- 「FXはやめとけ」という話には、誤解と事実の両方が混在している
- 事実の面は冷静に考える必要があるけれど、リスクを抑える対策もある
- 少額取引であれば、損失額は莫大なものにはならない
- FXをギャンブルと捉えず、真面目に努力する意思があれば利益を出せる可能性がある