最初は最悪なイメージだった
-まずは高城さんがFXと出会ったきっかけについて教えてください。
高城:最初のきっかけは、週刊誌の編集部から「FXで稼いでいる人がいるから取材してほしい」と依頼されたことだったと思います。ただその当時、私はFXのことを何も知らなかったんですよ。
むしろ、新聞などでFX目的の横領事件が報じられることもあったし、あんまりイメージが良くなくて…。そんな怪しいものとは付き合いたくないと(笑)一度は断ったんですよね。
-それは意外ですね!現在はFXライターをしている人が、FXに悪い印象を持っていたとは…!
高城:FXって、知らない人から見れば「怪しい」とか「リスクが高い」といったイメージがあると思うんです。
実は私もまったく同じで、むしろ私の方がより強いマイナスイメージを持っていたかもしれません。
でも編集部の人が何度もFXを取材して「これは本当におもしろいから調べてみた方がいいよ」と言われて。それで実際に取材をしてみて、確かにこれはおもしろそうだなと印象が変わっていったんです。
-なぜ印象が変わったんですか?取材した人がおもしろかったとか?
高城:そうなんです。その頃に誰に取材したのか記憶は定かではないのですが、個人投資家に取材したんだと思います。
当時は「円キャリートレード」と言ったのですが、要は円を売ってスワップ金利をもらうというやり方がものすごいブームで。わかりやすい成功者たちがたくさんいたんですよね。六本木ヒルズのレジデンスに住んで、待ち合わせの場所にはフェラーリで乗りつけてきて、みたいな。
「株とかでは見たことがない、何かの現象が起きているな」と思いました。そこからどんどんのめり込んでいったという感じですね。
それまでは株の取材がメインだったんですけど、FXは参加しているプレイヤーやライフスタイルや考え方が全然違う世界だなと思って、ものすごく興味を惹かれました。
-そういう人たちを取材するうちに、自分でもやってみようと思ったのですね?
高城:そうですね、そういう成功者の方々に取材していると、自分でもできそうだなという思いが出てきたので。
円を売って高金利通貨を買う円キャリートレードをやり始めて、最初は順調に資金を増やせていたのですが…。
リーマンショックの前にサブプライムショックという、一段小さいショックがあって。その段階で私はもう口座が飛んだはずです。
当時、円キャリートレードは「効率のいい外貨預金」みたいな雰囲気だったんですよ。外貨預金だと金利5%ですけど、FXの場合はレバレッジが効くので5%の金利を50倍にも100倍にもできますよといった、今考えれば「どう考えてもおかしいだろ」みたいな考え方がわりとまかり通っていたんです。そこに流されてやっていましたね。
当時はレバレッジの規制もまだなく、100倍200倍で普通にやっていた時代なので、そりゃあ退場するよなと。
-いきなり大きな失敗を経験したと。
高城:私は、初心者のやりがちな失敗は一通りやってますね。
自分では何も調べることをせずに、億トレーダーたちのやり方を表面的に真似してちょっとしたショックでやられて退場するという…。本当に初心者でした。
デイトレードをするようになってからも、カリスマが言っていることをそのまま鵜呑みにして、表面的な判断だけでやってしまうとか。本来は長めの期間で効果があるのか検証をしてからトレードするべきだと思うんですけど、そういうこともせず…。
本当に、初心者のやりがちな失敗は一通りやってきていますよ。
-では逆に、成功体験として印象に残っているものはありますか?
高城:トルコショックで勝てたことでしょうか。
先ほど話したとおり、私は円キャリートレードで最初に失敗したのですが、もしかしたらトルコリラも同じことを繰り返しているだけではないかと気付いたんです。つまり、その逆をやることで勝てるだろうと。
FX会社が出している「ポジションの偏り」みたいなものをチェックして、どれだけ積まれているかを見て。そろそろ来るなという感覚があったのでトルコリラを売りで持ったんです。
-多くの人が損失を出す場面で勝てるっていうのはすごいですね。
高城:ショックで被弾しなくなったというか。
今まではいろいろなショックでだいたいやられてきているんですが、2016年のブレグジットショックあたりから、逆にショックで儲かるようになってきた。今までは初心者の沼にずっと住んでいたのが、その沼からちょっと抜け出すことができているのかなという感じはしています。
-抜け出せたポイントって何でしょうか?
高城:一つは、他の投資家が今どんなトレードをしているのかを考えられるようになったことだと思います。
今はツイッターとかで他の人が考えていることがわりと可視化しやすかったりするので、そういうのを見ていると参考になりますね。ポジションの確認の指標とかももちろんそうですし、すごく役に立ってます。
あとはメルマガもそう。仕事にもからんでいることですが、元為替ディーラーが出している有料メルマガがいくつかあって。そういうのを見ていると、たとえばドル円を買いました、売りましたっていうのをリアルタイムで出してもらえるので、同じようにコピートレードしつつチャートも見て勉強して。この経験が役に立っているというのはあります。
乗っていいトレンド、乗っちゃいけないトレンドが何となく見分けられるようになってきました。
あきらめずにトレードを続ける大切さ
-高城さんは億トレーダーもたくさん知っていると思いますが、勝っている人に共通していることって何かありますか?
高城:現在、目立っている億トレーダーはだいたいスキャルピングをしている人なのですが、そういう方々に聞くとみんな言うのが「チャートをひたすら見ろ」ということ。
それも過去のチャートではなく、秒単位でローソク足が伸び縮みしているリアルタイムのチャートをひたすら見続けていることで、予想できるようになると。
「何かの新しいテクニカルで覚醒した」とかではないんですよね。だいたい皆さん、仕事から帰ってきたら深夜1~2時までずっとチャートを見てたとか。そんな時期があった上で勝てるようになっているなと思います。仕事と食事の時間以外はずっとチャートを見ているというのは、自分には真似できないですけど。
スキャルパー以外で言うと、たとえば「世の中に存在するあらゆるテクニカルを知っているんじゃないかな?」という人がいます。
どれを聞いても「あれは〇〇なテクニカルですけど、こういうときには使えないですよね」とか、経験を伴った知識を持っている。テクニカルの使い方にしても、教科書的なものではなく独自のノウハウを持っているんです。
いろんな勝ち方があるのがFXの特徴だなと思いますね。みなさんそれぞれ、性格に合ったやり方、勝ち方をしている。
結局はみなさん、「FXが好き」なんだなというのはありますね。自分なりの取っ掛かりを見つけて、そこを究めて、スキャルピングに落とし込んだり自動売買に落とし込んだり。みなさん基本的に、オタクなのだろうなと思います。
-FXは「お金を手に入れるため」ではなく、FX自体を楽しんでいるということでしょうか。
高城:そうですね、もちろんFXはお金の世界のことではあるんですけど、そんなにお金の話ばっかりじゃないなと。
FXをきっかけに経済に興味を持って、もっと経済を究めたいので大学に入りなおしたという人もいますし。
-熱意を持って、FX自体を楽しむことが成功するために大切なのでしょうね。その他、初心者が意識しておきたい「具体的なトレードの心構え」のようなものがあったら、ぜひ教えてください。
高城:やはり、損切りを徹底することですね。上手な人たちって本当に、機械的にどんどん損切りをしているんです。
最近、ゴールドマンサックスでディーラーをしていた人のトレード履歴を分析してみたんですが、損切りがすごく早いんですよね。そして回数も多い。勝率は5割を切っているのに、利益はしっかりと取っているんです。
初心者って、コツコツ貯めた利益をドカンと失ってしまいがちですよね。いわゆる「コツコツドカン」というやつです。
しかしプロの人は完全にその逆で、コツコツ負けてドカンと勝つ。それがはっきりと出ていて、自己規律の大切さを感じました。
あとは、一喜一憂せずにひたすらコツコツ淡々と、負けても負けても繰り返すこと。コロナショックで、それが大事なんだなというのを痛感しましたね。
実はスキャルパーの方々って、去年に地獄を見ている人が多いんですよ。去年はドル円のボラティリティがおそろしく低かったので、スキャルピングでは勝てない環境だったんです。一昨年くらいまで余裕で億を稼いでいたのに、去年の収支はマイナスになってしまった人がたくさんいました。
でもその方々は、そこであきらめずに、ずっとFXに食らいついていたんです。そして今年のコロナショック相場で、去年の損失を挽回し、さらに単月で億を稼いでいたりして…。
普通の人だったら去年の時点でメンタル的に耐えられなくなっていると思うんですけど、最後まであきらめない人は大成功するんだなと感じました。
-「あきらめず継続することの大切さ」は多くの人が言うことではありますが、やはり、それができる人に成功がやってくるのでしょうね。
高城:一回負けると「なんだ、FXってぜんぜん稼げないな」と止めちゃう人も多いですが、それはもったいないですね。
失敗すれば、それが学びに変わったりするので。続けていれば勝ちやすい相場が必ず来ると思いますよ。
-FXを始めたばかりの初心者には、とても勇気が出る言葉だと思います。ありがとうございました!今後も高城さんはたくさんのことを教えていただきたいと思っていますので、これからも記事執筆をよろしくお願いします!
この記事の執筆者
エフプロ 編集担当
斎藤直人
SAITOU NAOTO
略歴
編集者歴19年。
主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。
国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
現在は株式会社キュービックのエディターとして、記事クオリティ向上に尽力中。