実は意識が変わったのはここ最近
-鹿内さんがFXと出会った「最初のきっかけ」は何だったのですか?
鹿内:もともと僕は雑誌の編集者をしていたんですよ。たとえばブランドバッグの本とかレースクイーンの雑誌とかいろんな仕事をしていて。
30代前半のときにフリーランスになったのですが、そのときにお世話になっていた会社がFXの雑誌(FX攻略.com)を創刊したんですね。それを手伝ってくれと言われたのが最初ですね。
-それまでFX歴はまったくなかったんですね?
鹿内:「投資」ってなじみがないじゃないですか。
FX攻略.comの仕事でいろんなトレーダーや証券会社の人の話を聞くうちに「こういう世界なんだな」っていうのを覚えていった感じですね。
-きっかけは仕事だったかもしれませんが、どこかで「おもしろい」と感じたわけですよね。どこにおもしろさを感じたのでしょうか。
鹿内:もちろん、トレード自体のおもしろさもあると思います。
うまくいけばお金が手に入るのですから、やりがいもありますよね。ただ自分の場合はいろんなトレーダーさんに話を聞いてきて、おもしろい人が多かったっていうのがありますね。
長く続けてちゃんと利益を出している人には共通点があって、ものすごく勉強している人が多いですよ。なおかつ、最初はみんな何回も負けている。初めから勝ってた人なんてほとんどいないと思います。
-鹿内さん自身はいつごろからトレードをしているんですか?
鹿内:2008年からこの仕事を始めたのでトレードもしていましたが、実を言うと「本当に研究してやってやろう」と思い始めたのはつい1~2年前なんですよね。
それまでは何となくトレードしてしまっていて、ちょっと休んだりもしていましたし。魂を入れてやり始めたのはここ1~2年くらいのことです。
-なぜ考えが変わったのですか?
鹿内:お金持ちになりたいという意欲が、当時はそんなになかったんですよ。
実は僕は昔からずっと音楽をやっていて、音楽の世界で成功することしか考えていなかった。40歳過ぎくらいまで音楽活動に大半の意識とエネルギーを注いでいたんですけど、その世界で生きていくのもなかなか難しい部分があってですね…。
まずは、社会的地位とかお金とか、業界とかの関係を強くしたい。そして再び音楽をやりたい。そんな思いから「本気でトレードを頑張らなきゃもったいない」という意識に変わったんです。
-鹿内さんといえばFX業界の有名ライターという印象なので、そんな経歴があったとは意外ですね。でも仕事を通じて膨大にインプットしているでしょうから、確かにトレードに活かさないともったいないですよね。
鹿内:ただ、それもまた難しいところなんですよ。
インプットだけが多いと、「中途半端に知識だけがあって勝ってない」人になるんですよね。これは確信してます。
たとえば世の中にはいろんなFX講座がありますが、いろんな人の講座につまみ食いみたいに行っている人って、やっぱり勝ってないんですよね。業界のことはとてもよく知っているのに、本当の意味では知っていない。
一つのやり方をとことん突き詰めていかないと勝てないんです。これが俗に言う「手法の旅人」ですね。ちょっとやったらすぐに次、みたいな。インプットだけしてアウトプットの練習や検証をしていないと、有利ではないですね。
やめずに続ければ、いつか「開花」する
-鹿内さんの思い出に残っている失敗談はありますか?
鹿内:リーマンショックの前にFXを始めたんですが、当時いろんなニュースで「世界経済がヤバそう」と言ってたんです。
そこでドル円の売りポジションを持ったまま放置したんですが、リーマンショックの前にちょっと上がった時期があって負けたことがありました。その後リーマンショックが来てドカンと下がったので、相場観は合ってるじゃないですか。
いくら相場観が合っていても、トレード手法が間違っていたら勝てない。そしてボラティリティの判断がないと勝てないということがわかりましたね。
-では逆に「これは大成功だった」というトレードは?
鹿内:大成功などと言えるトレードはないんじゃないですかね。
FXって1回1回のトレードの勝ち負けはあんまり関係なくて、100回、1000回やった後にお金が増えてるかどうかですから。
そういう意味で、僕もエフプロを読んでいる方たちと同じ勉強中の身ではありますね。「一緒に勉強しましょう」というスタイルです。
-鹿内さんにそう言っていただけると、初心者は心強いと思います。初心者から見るともう、FXのトレーダーなんてすごい人ばかりに見えますから。YouTubeとかSNSとかを見ると、ものすごい額でトレードをしている人もいますし。
鹿内:そういうのはどうしても目につきますし、気持ちはわかります。
でも、あれはエンターテイメントだと思うんですよ。ツイッターやYouTubeでは「ウケるやり方」ってあるじゃないですか。それも意識して発信してるっていう人もいますし。
仕事柄、安定して利益を出しているトレーダーをたくさん知っていますけど、エキサイティングでおもしろいトレードをしている人たちはいないですね。作業のように勝ったり負けたりして、最終的にプラスになっている。自分の定めているルールのとおりに売買して、勝っても負けてもルールどおりに終えるんです。
あまりおもしろくないトレードですが、そういう人ほどちゃんと勝ってるという印象です。派手なエンターテイメントは見て楽しむ分にはいいですけど、真似をするものではないと僕は思います。
-鹿内さんは、どのくらいで初心者を卒業できたと思いますか?
鹿内:今でも初心者だと思ってますが、強いて言えば…。僕はけっこう早い段階から、ポジションを持つと必ず損切りが入ってないと気持ち悪くてしょうがなくなりました。
リピート系みたいにわかってて放置するのはいいんですけど、とくに意味もなく損切りを入れないのって、一撃で吹き飛ぶ可能性があるじゃないですか。一撃で資産を大きく減らしてしまう負け方をすると、続けるのが大変ですよね。それを防げるようになれば、とりあえず退場しにくくなる。「一撃で負けないようにする」のは、簡単にできると思っています。
損切りが入っていたら、損切りになったときにいくら負けるか計算できますよね。その金額が大きすぎたとしたら、何か問題があるんですよ。それを管理するだけで、ずいぶん違うと思います。負け続けてもジワジワと減っていくだけですから。
-なるほど…。損切りの重要性は多くの人が言いますし、やはり一つの真理なのでしょうね。最後に、FXビギナーに何かアドバイスをお願いします!
鹿内:聞くところによると、投資スキルの「開花」っていきなり来るらしいんですよ。
気が付いたら勝てるようになってたとか、ある日を境に見えてきたといった世界らしいんです。「3年間やったら3年分上達するので、収支はこうなっている」…みたいな計算はできないらしいんですね。教習所みたいなものじゃなくて、開花する時期は人によって違う。
だからやっぱり、大負けしないようにして耐えていれば、いつか開花するときが来るんです。100万円が95万円になったレベルならまだ大丈夫じゃないですか。まだがんばれる。だから常に、一発で大負けしないような形で、経験やトレーニングを蓄積しながら続けていれば開花するときがやってくると思って、僕はやっています。
「やめてしまわないこと」が大切なのだと思います。
-最後まで、初心者を勇気づけてくれてありがとうございました!これを読んでいる初心者の皆さん、ぜひエフプロとともにがんばりましょう!
この記事の執筆者
エフプロ 編集担当
斎藤直人
SAITOU NAOTO
略歴
編集者歴19年。
主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。
雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。
国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。
現在は株式会社キュービックのエディターとして、記事クオリティ向上に尽力中。