目次
ステップ1:まずは注文方法の基本の3つ(成行・指値・逆指値)を覚えよう
当記事ではFXの注文方法を大きく3つのステップに分けて解説します。
FXには実に多彩な注文方法がありますが、それを初級、中級、上級のように順にステップアップする形で解説していきますので、初心者でも無理なくマスターできるはずです。
その最初にあたるステップ1では、成行と指値、逆指値という基本の3つの注文方法について解説します。
このうち指値と逆指値は次のステップで解説するOCOやIFOにも関わりがある重要な注文方法でもあるので、この段階でしっかりマスターしておくと中級以上の注文方法を理解しやすくなるでしょう。
その場で取引を成立させる「成行注文・ストリーミング注文」
提示されているリアルタイムのレートで注文を約定させるのが、成行(なりゆき)注文です。株など他の投資商品でも同様の注文を成行注文といいます。
なお、成行注文と似た注文方法としてストリーミング注文があります。どちらも「今すぐに取引したい」ときに使う注文ではありますが、両者の微妙な違いを解説すると以下のようになります。
成行注文 | 「注文を約定させる」ことを優先する →成行注文を出せば、必ず新規エントリーもしくは決済ができる |
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ストリーミング注文 | 「取引したい価格」を優先させる →場合によっては注文が通らない |
FXは刻一刻とレートが変動しているため、注文時のレートと約定時のレートが微妙に異なる場合があります。この差は「スリッページ」と呼ばれ、レートが激しく動いている時にはスリッページが大きくなりやすい傾向があります。
成行注文はスリッページに関係なく約定を優先させる注文方法なので、状況によっては注文時のレートと約定したレートが不利な方向にズレて約定することもあります。
もう一方のストリーミング注文は許容できるスリッページを設定した上での成行注文なので、スリッページが発生したとしても許容できる範囲内に抑えることができます。仮にスリッページの幅を10pipsと設定した場合、スリッページが10pipsを超える時は約定しません。
成行注文は「約定を優先する」のに対して、ストリーミング注文は「許容できるスリッページの範囲内での成行注文」と理解すると、分かりやすいでしょう。
またスマホアプリなどでは「スピード注文」という名前になっていることもあります。

利益確定や逆張りエントリーで使用する「指値注文」
「指値」とは、一般的に「現在よりも有利な価格」という言葉で説明され、約定させたいレートを指定して注文を出すのが指値注文です。
指値注文を使う基本的な場面
新規エントリー時 | 逆張り |
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決済時 | 利益確定 |
FXの新規エントリーで指値注文を使う場合、現在のトレンド(値動きの傾向)から反転しそうなレートに注文を入れる逆張りトレードや、大きなトレンドの中での押し目買い・戻り売りなどで使われます。
例えば米ドル/円が130円に向けて下落を続けているような時に、「130円で下げ止まって今度は上昇するのではないか」という見通しを立てたとすると、130円で指値の買い注文を入れます。
もうひとつ、指値注文は利益確定時にもよく用いられます。ポジションを保有している状態で利益が出るレートに指値の決済注文を入れておくと、そのレートになった時点で注文が成立し、利益確定となります。
指値注文の基本的な使い方は上記のとおりですが、以下の記事にはさらに詳しい解説があります。成行注文との比較でメリットやデメリットについても解説しているので、ぜひ併せてお読みください。
(指値とは?FXや株を取引するなら必須の注文方法を徹底解説)
損切りや順張りエントリーで使用する「逆指値注文」
指定したレートでの約定を目指す注文方法にはもうひとつ、逆指値注文があります。
「逆指値」とは、一般的に「現在よりも不利な価格」という言葉で説明され、指定したレート以上になれば買い、逆に指定したレート以下になれば売りといったように、指値注文とは逆の使い方をします。
「不利な価格での取引」という説明を聞くと、「どんなところで使うの?」と疑問を持つと思いますが、逆指値注文は多くの場面で用いられています。
逆指値注文を使う基本的な場面
新規エントリー時 | 順張り |
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決済時 | 損切り |
新規エントリーの際、逆指値注文は順張りに用いられます。
例えば米ドル/円が現在130円で、133円のレジスタンスラインを超えればさらに上昇するとの見通しを立てたとしましょう。この場合は133円より少し上に買い注文を入れる(現在より高い値段で買う)ことになるので、逆指値注文となるわけです。
さらに、逆指値にはもうひとつ重要な役割があります。それは、損切りです。
保有しているポジションで含み損が発生している時、あるレートに到達したら決済をして、それ以上の損失の拡大を防ぐときに逆指値の決済注文が用いられます。
また損切りとは逆に「保有しているポジションで含み益が出ている場合」でも、逆指値注文を用いることがあります。
含み益のポジションを持っているとき、「せっかく含み益が出ているので、ここから相場が反転してマイナスになるのは避けたい。最低限の利益は確保したい」と考えることはよくあります。その場合には最低限の利益が出るレートに逆指値の決済注文を入れておくと、トレードをプラスで終えることを確定させつつ、さらなる利益の拡大を狙えるようになります。
逆指値についてはさらに詳しい解説記事がありますので、そちらも併せてお読みください。
(逆指値とは?指値とセットで必ず覚えたい、株やFXの基礎知識)
ステップ2:基本の複合注文(IFD・OCO・IFO)を覚えよう
先ほどのステップ1で解説した3つの注文方法は、いずれも単体での注文です。新規エントリーで用いればポジションを保有することになり、保有しているポジションに対して出せば決済注文となります。
これらの単体注文に対して、ステップ2で解説するのは複合注文です。
1つの注文が成立したら次の注文が出されるIFD注文や、一方の注文が成立するともう一方が無効になるOCO注文、そしてこのIFDとOCOを組み合わせたIFO注文などがあります。
なお、これらの複合的な注文方法はどのFX会社でも使用可能です。
新規エントリーから決済まで指定できるIFD注文
IFD注文の「IFD」は、「If Done」の略です。新規エントリーと決済の注文を同時に出せるので、「新規エントリー+利益確定」もしくは「新規エントリー+損切り」の注文を1つのセットとして出すことができます。
1つ目の図では下落から上昇に転じた相場で買いからエントリー、さらに上昇したところで利益確定の決済をするのにIFD注文を利用しています。
IFD注文は一度に新規エントリーと決済の注文を出せますが、1つ目の注文が約定してポジションを保有することではじめて2つ目の注文が有効になります。
なお、IFD注文では新規エントリーをした後に発動する注文として、利益確定か損切りのどちらかひとつしか設定できません。ちなみに、1つ目の図は「新規エントリー+利益確定」、2つ目の図は「新規エントリー+損切り」の組み合わせです。
実際のFXトレードでは2つめの図のような「新規エントリー+損切り」でIFD注文を活用することをおすすめします。
ポジション成立後に損切り注文を置いておけば損失が発生しても金額が限定されるため、予期せぬ大損を回避できます。損切りを適切に行うことができるかどうかはFXのトータル収支に大きく影響を及ぼすため、損切りを習慣づけておく意味でも有効な方法です。


「利益確定もしくは損切り」の両パターンを指定できるOCO注文
保有しているポジションに対して指値で利益確定、もしくは逆指値で損切りの注文を入れておくことは多いと思いますが、どちらか一方ではなく「利益確定と損切りの両方を入れておきたい」というニーズもあります。そんな時に役立つのが、OCO注文です。これを図で示すと、以下のようになります。

図のように買いポジションを保有している状態でOCO注文を出しておくと、レートが上昇して予定していたレートに到達すれば利益確定の決済注文が成立します。
逆に「ここまで下がれば損切り」と想定していたレートに到達すると損切りの決済注文が成立します。
OCOは「One Cancels the Other」の略で、一方の注文が成立したらもう一方の注文はキャンセル(無効)になるという意味です。この図で示しているケースでも利益確定か損切りのいずれかが約定すると、もう一方の注文は無効になります。
このようにOCO注文を出しておけば、利益確定と損切りのレートが確定します。あとは相場をチェックしていなくても、どちらかが成立すればトレード終了となるので、日本時間の深夜など相場が動きやすい時間帯に寝ていても問題ありません。
ここまでの解説は「保有ポジションの決済に用いるパターン」を想定しましたが(基本的にはこちらの使い方の方が多い)、OCO注文は新規エントリー時にも用いることができます。
例えば現在のレートに対して想定しているレートまで下がれば買い、逆に想定しているレートまで上がれば売りといったように2つの逆張り注文を同時に出しておきたい場合も、OCO注文が役立ちます。これを図で示すと、以下のようになります。

この例でもどちらかの注文が成立したらもう一方の注文は無効になり、買いもしくは売り、どちらかのポジションが成立します。
IFD+OCOを合体させたIFO注文
複合的な注文方法としてIFDとOCOについて解説しましたが、この2つを合体させた注文方法もあります。それが、IFO注文です。
新規エントリーの注文が成立したら利益確定と損切りの両注文をOCOで出すため、IFDとOCOを組み合わせてIFO注文と呼ばれています。
以下の図は、買いからの新規エントリーをする場合のIFO注文イメージで、トレーダーは「新規の買い注文・利益確定・損切り」の3つを設定します。
相場が新規注文の価格まで動くと自動的にポジションを保有し、同時にOCO注文も出されます。

つまりIFO注文は「新規エントリーから利益確定もしくは損切りまで」の注文を最初に出せるため、1つの注文で一連のトレードを完結できます。
そのため、忙しくてトレードをする時間をあまり取れない人、売買のチャンスを逃したくない人にも強い味方となります。
また、IFO注文を出しておけばポジションが成立して損失が発生しても金額が限定されるので保険を掛けたような状態になり、「ポジションを持ったまま放置したことによる大損」のリスクを回避できます。
ステップ3:会社によって有無に違いがある、その他の注文方法
ステップ1とステップ2で解説した注文方法は、どのFX会社にも共通して用意されているものです。
しかしFXの注文方法はこれだけではありません。FX会社によって有無の違いがある、独自の注文方法もあります。
すべてのFX会社で用意されていないということは少々マニアックな注文方法なので、それが必要であるかどうかは人それぞれでしょう。
ここでは一部のFX会社で利用可能な「トレール注文」「時間指定注文」「ドテン注文」の3つについて解説します。
トレンド相場で利益を伸ばすための「トレール注文」
上昇トレンドや下落トレンドなど相場が一方向に進んでいる時は、利益を大きく伸ばすチャンスです。上昇トレンドの時に買いポジションを保有していれば相場が上昇すればするほど利益は大きくなりますし、下落トレンドの時に売りポジションを保有している場合も同様です。
しかしながら、相場は水物です。トレンドが反転してせっかく出ていた含み益がなくなってしまい、逆に含み損になってしまうことも…。
こうしたトレンドの反転に備えて逆指値による決済注文を入れておけば、相場が反転しても一定の利益を確保できます。この逆指値による決済注文をレート変動に追従して自動的に動かすのが、トレール注文です。
トレール注文のイメージ図は、以下のとおり。注文時にトレール幅を設定しておくとレートの変動に追従して決済の逆指値注文が自動的に変動します。

この図は上昇トレンドに対応してトレール注文を出す場合をイメージしています。
新規エントリー後、買いポジションを保有した状態で相場が思惑どおりに上昇すると、その値動きに追従してストップ注文(決済逆指値注文)も上に移動します。
しかし相場が下落した場合にはストップ注文は動かないため、あらかじめ設定したトレール幅以上の下落が起きた時点で利益確定となります。
例えば米ドル/円が130円の時に買いでエントリーし、トレール幅を50pips(50銭)に設定したとしましょう。そして相場は50銭以上逆行することなく131円、132円へと上昇を続けたとすると、買いポジションの含み益はトレンドに追従してどんどん大きくなっていきます。
しかし相場は永遠に上昇を続けることはないので、どこかで反転します。仮に132円から反転を始めたとすると、131.50円に下落したらその時点でトレール注文の逆指値が執行され、150pips分の利益確定となります。
トレール注文を活用すると「トレンドが続く限り利益を伸ばしたい」「でも反転したときにも備えておきたい」というニーズを満たすことができます。
取引したい時間がはっきり決まっているときは「時間指定注文」
あらかじめ指定した時間帯にのみ注文を出せるのが、時間指定注文です。
FXは平日のほぼ24時間いつでも取引が可能ですが、その中には時差の関係で3大市場(東京、ロンドン、ニューヨーク)が切り替わるタイミングや重要な経済指標の発表時など、相場が大きく動きやすい時間帯があります。
時間指定注文はこうした特性を踏まえて、特定の時間帯にのみ注文を出したいというニーズに応えてくれます。

一度の注文で保有ポジションを逆転させる「ドテン注文」
保有しているポジションを決済すると同時に逆の新規エントリーをすることを「ドテン」といいます。
例えば「下落すると予想して売りポジションを建てたものの、相場は上昇している」といった状況があったとしましょう。
さらに上昇しそうだと判断した場合「売りポジションは損切りした上で、新規で買いのエントリーをしたい」と考えることもあるでしょう。
これを一度の注文で反映できるのがドテン注文です。上昇トレンドの例を図にすると、以下のようになります。

売りポジションの含み損拡大防止と同時に、今度は買いポジションを建てることによって上昇での利益を狙うといったトレード戦略は、ドテン注文で実現できます。
なお、FX会社の口座に「ドテン」の名称が使われていない場合であっても「FIFO」の機能があれば同様のドテン売買が可能です。
FIFO注文は保有しているポジションを古い順に決済した上で逆の新規エントリーをする注文方法なので、実質的にドテン注文と同様の効果が得られます。
多彩な注文方法が使えるおすすめFX会社
当記事ではFXの注文方法を3つのステップに分けて解説してきましたが、ステップ2までの注文方法はすべてのFX会社で利用可能なので、注文方法だけの比較であればどのFX会社を利用しても大きな差はありません。
それに対して、ステップ3で紹介した注文方法はすべてのFX会社にあるわけではなく、一部のFX会社でのみ利用可能なものです。
もちろん注文方法の多さと勝率が比例するわけではありませんが、注文方法の選択肢が多いほうが自分に合った方法を見つけられるかもしれないと考える人もいるでしょう。
そこで、多彩な注文方法を利用可能なおすすめのFX会社として「ヒロセ通商」「外為どっとコム」の2社について特徴を交えつつ紹介します。
ヒロセ通商
注文方法の多彩さにおいては群を抜いているのが、ヒロセ通商です。
全部で27種類の注文方法を利用可能。ステップ3ではトレール注文や時間指定注文、ドテン注文を紹介していますが、ヒロセ通商はこの3つをすべて利用できます。
さらにこれら以外にも「pip差決済注文」といって新規エントリーの注文時に設定していたpip差で自動的に決済注文を出せる機能や、「トリガー注文」といってあらかじめ設定していたレートになったら設定しておいた指値・逆指値注文が発動する機能(決済でも利用可能)もあります。
その他にも「他通貨トリガー注文」「リピート時間指定成行注文」などユニークな注文方法が数多くあります。
ヒロセ通商の基本情報
ヒロセ通商の基本スペック | |
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通貨ペア数 | 54通貨ペア |
取引単位 | 1,000通貨 |
スプレッド(ドル/円) | 0.2~3.8銭* |
口座開設の最短日数 | 即日 |
サポート | 平日24時間 |
デモトレード | ◯ |
キャッシュバックキャンペーン | 最大55,000円 |
外為どっとコム
情報・勉強コンテンツが充実していることで有名な外為どっとコム。ステップ2までで紹介した基本的な注文方法に加えて、時間指定注文とトレール注文が利用可能です。
ヒロセ通商と注文方法の数だけで比較するとはそれほど多くないように見えてしまうかもしれませんが、そもそも時間指定注文やトレール注文がないFX会社も少なくないので、外為どっとコムは「注文方法が充実している会社」といっていいでしょう。
外為どっとコムの基本情報
外為どっとコムの基本スペック | |
---|---|
通貨ペア数 | 30通貨ペア |
取引単位 | 1,000通貨 |
スプレッド(ドル/円) | 0.2銭* |
口座開設の最短日数 | 即日 |
サポート | 平日24時間 |
デモトレード | ◯ |
キャッシュバックキャンペーン | 最大1,002,000円 |
取引スタイルによって、よく使う注文方法は違う?
ポジションの保有期間によって、FXの取引スタイルは大きく4つに分類されています。その4つをポジションの保有期間が短い順に並べると、以下のようになります。
- スキャルピング(数秒から数分)
- デイトレード(その日のうちにトレードを終了)
- スイングトレード(数日から数週間)
- ポジショントレード(スワップポイント蓄積を目的とした長期保有)
それぞれの取引スタイルには、よく用いられる注文方法があります。ここではFXの取引スタイルと注文方法の関係について解説します。
スキャルピングでは成行(ストリーミング)注文を多用
4つあるFXの取引スタイルのうち最もポジションの保有期間が短いスキャルピングでは、とにかくスピードが重視されます。
刻一刻と動いているレートから薄い利益を積み重ねていく取引スタイルなので、指値やIFOといった「待ち」の注文方法ではなく成行注文やストリーミング注文といった手動の注文方法によるトレードが基本です。
ただし、スキャルピングは薄い利益を狙う手法なので、スリッページの影響を強く受けます。スリッページが大きすぎると狙いどおりのレートで約定せず、スリッページのせいでトレードの収支がマイナスになってしまうことも。
利益を確保するためにはスリッページの許容幅を小さくする必要がありますが、スリッページの設定を小さくしすぎると約定率も低くなります。どちらを優先するかは人それぞれですが、注文量が少ないうちは約定しやすいので、それほど気にしなくていいでしょう。
デイトレード、スイングトレードでは決済の予約注文を忘れずに
その日のうちにポジションの手仕舞いをするデイトレード、またポジションの保有期間が数日から数週間程度になるスイングトレードで重要なのは、成立したポジションを放置せず決済注文を入れておくことです。
決済注文(特に損切り注文)を入れずにポジションを保有したままの状態でいると、相場に思わぬ急変が起きると含み損が大きく膨らみ、最悪の場合は強制ロスカットになってしまうこともあります。
こうしたリスクを抑えるために、デイトレードやスイングトレードでは新規エントリーの時点で決済注文を入れておくIFD注文やIFO注文を活用することをおすすめします。
成行注文やストリーミング注文で新規エントリーをしたとしても、保有しているポジションに対して指値や逆指値、もしくはOCOなどの注文方法を用いてトレードの出口を設定しておきましょう。
ポジショントレードでは損切りの位置が遠くなることを意識
スワップポイントを受け取れるポジションを長期保有し、その蓄積を狙うのがポジショントレードです。コツコツとスワップポイントを貯めていくので、ポジションの保有期間が年単位になることも珍しくありません。
そこで重要になるのが、ポジションの保有期間中に起きる相場の急変への対策です。損切りの逆指値注文を入れておくのが基本ですが、デイトレードなど短期売買のようにレバレッジをかけて比較的近いレートに損切りの逆指値注文を入れておくのとは取引スタンスが異なります。
ポジショントレードは長期間にわたってポジションを保有し、強制ロスカットにならないようにスワップポイントを貯める必要があるため、設定する損切り注文は短期売買よりも遠くに置くことになります。
しかし損切り注文が遠いということは、それだけ相場が大きく逆行した時の含み損も大きくなります。含み損が膨らんでも強制ロスカットにならないよう、ポジショントレードの際にはレバレッジが低くなるようリスクの低い運用を心がける必要があります。高くてもレバレッジは数倍程度に抑えるのが好ましく、理想はレバレッジ1倍です。
注文方法に関するよくある疑問
FXの注文方法について、よくある質問とその答えをまとめました。
FXの注文方法については誤解されている部分もあるので、こちらもしっかり読み、正しい知識でFXトレードに臨みましょう。
一度出した注文の取り消しや修正は可能ですか?
FXの注文は、約定する前であれば何度でも修正や取り消しができます。しかも、その方法はどのFX会社であってもとても簡単です。
保有しているポジションの含み益が伸びそうなのであれば損切りの逆指値注文を動かして、仮に相場が反転して逆指値注文が約定してもトレードをプラスで終えるように設定することもできます。
逆に損切り注文を入れているレートに到達していなくても早めに損切りをしておきたいのであれば、損切り注文を取り消して手動による損切りするといったことも可能です。
このようにFXの注文は後から何度でも簡単に変更できるのですが、それゆえに「損失確定を嫌って投資家自身が損切りラインを遠くに動かすこと」もできてしまいます。安易に損切り注文を動かすことは致命的な大損のリスクを高めるので、注意が必要です。
予約注文を入れておけば、注文した価格で必ず取引できますか?
指値や逆指値をはじめとするレート指定の予約注文は、あくまでも「予約したレートでの約定を目指す注文」です。相場の状況やFX会社の取引システムの稼働状況などによっては、予約注文でもスリッページが発生して注文したレートと異なるレートで約定することがあります。
例えば米ドル/円は、毎月第1金曜日に発表される米国の雇用統計によって大きく動くことがあります。
事前に「130円で買い」という予約注文を入れていたとしても、こうした相場の急変時には130.05円で約定、もしくは129.95円で約定といったようにわずかに異なるレートで約定することがしばしばあります。
これは新規エントリーだけでなく、決済注文でも同様です。投資家にとって有利なレートに滑る(上記の例では129.95円での約定)こともありますが、逆に不利なレートになる(上記の例では130.05円での約定)こともあります。
注文方法が多い会社の方がトレードに有利ですか?
本文中でも述べていますが、注文方法の多さと勝率は比例しません。
注文方法が多いということはそれだけ複雑でマニアックな注文方法が追加されているということなので、それを使いこなせる人にとっては有利になりますが、そうでない人にとっては不必要なものです。
自身の取引スタイルに合った注文方法が特定のFX会社にしかないのであれば、その場合は使いたい注文方法を求めて口座を選ぶべきでしょう。
スマホでもパソコンと同じ注文方法が使えますか?
ほとんどのFX会社ではパソコンとスマホの両方でトレードができるように取引ツールを提供しています。
以前のスマホアプリはパソコン版ほどの性能を備えていないことも多かったのですが、今ではスマホ自体の性能向上もあってパソコンとそれほど変わらない取引環境が提供されています。
注文方法についても同様で、ほとんどのFX会社ではパソコンとスマホの両方で同じ注文方法を利用可能です。
この記事のまとめ
- まずは「成行・指値・逆指値」の使い方や概念を覚えるところから始めよう
- 「新規エントリーと決済」または「利益確定もしくは損切り」のような複合注文(IFD・OCO・IFO)はすべてのFX会社で使うことができる
- マニアックな注文方法が使えるFX会社もあるけれど、それらを使うかどうかは人それぞれ