目次
まずはバイナリーオプションについて解説
バイナリーオプション(BO)とは、一部のFX会社で扱うオプション取引の一種です。
特定の通貨ペア(米ドル/日本円など)のチャートを見ながら、設定されたある価格に対して「これから上がるかor下がるか」を二択式で予測し、的中した場合のみペイアウトが得られます。予測が外れてしまっても投資額がそのまま損失となるだけで、投資額以上に損失が拡大することはありません。
値動きを厳密に予測する必要がなく、損失が出ても元本の範囲内に収められることがバイナリーオプションのメリットです。
ペイアウト倍率とは?FX会社ごとに違う2種類の方式
ペイアウト倍率とは、判定時刻に予測が当たったときの「投資額に対する払戻額の比率」のことです。バイナリーオプション取引の注文画面に表示されており、その取引で予測が当たった場合の金額をあらかじめ計算しておくことができます。
ペイアウト倍率は、FX会社ごとに異なるため注意が必要です。
ペイアウト(pay out)とは?
ペイアウトとは「払い戻し」を意味し、バイナリーオプションで予測が当たった場合に投資家へ支払われる金額を意味します。
ペイアウト倍率はどう使う?
ペイアウト倍率を利用して、ペイアウト額を計算することができ、ペイアウト=投資額×ペイアウト倍率で求めらます。
たとえば、ペイアウト倍率=1.25倍のBOに800円で購入注文を出し、予測が的中した場合は
- ペイアウト額 = 投資額800円×1.25倍 = 1,000円
- 利益見込み額 = ペイアウト1,000円-投資額800円 = 200円
となります。
ペイアウト倍率と投資額だけで利益見込み額を計算する場合は以下のようになります。
利益見込み額 = 投資額 × (ペイアウト倍率-1.0)
バイナリーオプションで投資効率を考える場合、ペイアウト倍率をチェックしましょう。利益見込み額(ペイアウト倍率の数値)は、FX会社ごと・注文受付が開始されるごとに変化します。
つまり、時間あたりの利益を確保するには「単純にペイアウト倍率をチェックすれば良い」と言えるのです。
ペイアウト倍率には【固定型】と【変動型】がある
ペイアウト倍率には【固定型】と【変動型】の2種類があります。それぞれについて詳しく説明していきます。
固定型 | 変動型 | |
---|---|---|
ペイアウト倍率 | 固定 | 変動 (計算式:ペイアウト額÷オプション購入額) |
ペイアウト額 | 変動(投資額&ペイアウト倍率に比例) | 固定 |
オプション購入額 | 自分で指定できる | 自分で指定できない(オプション価格はリアルタイムで変動する) |
採用するFX会社 | 海外を拠点とするバイナリーオプション会社・FX会社 | 日本国内の会社・FX会社 |
固定型
FX会社がペイアウト倍率を提示する方法には2種類あり、そのうち一方が「固定型」です。この方式を採用しているFX会社では、注文受付時間中は倍率が変化せず、自由にオプション購入額を決めることができます。
元手に比例して期待できる利益額も大きくなり、一定の損失見込み額でリターンを得られるのが魅力でした。
ところが2019年現在、日本国内で固定型方式を採用しているFX会社はありません。ギャンブル性を煽り、バイナリーオプションの仕組みについて誤解を招きやすかったのが理由です。
固定型のメリット・デメリットとしては次のものが挙げられます。
- 注文受付時間中ならいつでも一定の利益見込み額がある
- 短時間で大口の取引が可能
メリット
- ギャンブル性が高い
デメリット
ペイアウト固定型は1.8倍~2倍と比較的倍率が高めなものが多いという事情もあり、投資家のなかには「チャート分析しなくても50%の確率で資金が倍近くになる」と誤認する人もいました。
この点が日本では問題視され、2013年からは倍率ではなくペイアウト額固定を義務付ける業界規制が敷かれています。
参考:金融先物取引業協会資料『個人向け店頭バイナリーオプション取引業務取扱規則』
変動型
ペイアウト倍率を決めるときのもうひとつの方式が「変動型」です。
この方式では、倍率ではなくペイアウト額が固定されます。オプション価格は自分で指定することはできず、FX市場をもとにリアルタイムで計算しなおされており、これを受けてペイアウト倍率が変動する仕組みです。
2020年現在、日本で営業許可を得たFX会社は全て「変動型」を採用しています。
- 固定型に比べて期待できる最大ペイアウト倍率が大きい
メリット
- 注文タイミングごとに利益見込み額が異なる
- FXと同レベルの相場分析スキルが必要
デメリット
変動型は理論上は高倍率ですが、実際にはそれほど高くはなりません。
オプション価格が安い(=高倍率)のは注文受付時間内のごく最初だけです。購入注文~判定時間の間が空くほど、注文時点での相場予想の正確さが失われます。つまり、ペイアウト高倍率を狙ってオプションを買えば、その分損失リスクが高まってしまうのです。
もし判定時刻に向かってオプション価格が安くなったとしても、安易に購入することはできません。価格下落は「投資家の予想が当たる確率は低い=オプションに価値がない」とFX会社が結論づけたことが原因で、やはり投資額を失うリスクが高まっているからです。
変動型のメリットを活かすには、何よりも「FXの分析手法を学んで理論的な値動き予測をすること」が欠かせません。FX市場の状況からペイアウト倍率を読み解き、購入注文に最適なタイミングを計る必要があります。
バイナリーオプション各FX社のペイアウト金額&倍率一覧
バイナリーオプションを扱うFX会社では、オプション購入1単位あたりの最小購入価格が5円~40円の幅で定められています。これを元にペイアウト倍率を紹介すると、次の表の通りです。
FX会社 | ペイアウト 金額 |
ペイアウト 倍率 |
---|---|---|
1,000円 (固定) |
計算式のみ 公開 (※1) |
|
10万円 (※2) |
1~10倍 | |
1,000円 | 約1~20倍 |
※1 ペイアウト額÷プレミアム(購入)により計算
※2 ドルストレートペア(米ドルと他の外貨のペア)で取引する場合のペイアウト額…1,000USD
特にGMOクリック証券はペイアウト倍率が高くなっています。
バイナリーオプションでは購入キャンセル手続きが原則できないところ、紹介した国内FX会社なら「購入したオプションを転売する」という形で損切りすることも可能です。
なお、4社すべてデモ取引があるので、特徴や売買の流れなどを先に体験してみると良いでしょう。
ペイアウト倍率だけじゃない?バイナリーオプション会社の選び方
バイナリーオプションを扱うFX会社を選ぶ際は、自身の取引スタイルを考慮しながらペイアウト倍率以外の項目もチェックしてみましょう。
投資戦略に関わる次の2つのポイントは、会社選びの際に特に役立ちます。
- 1回あたりの取引時間
- 1日の最大取引回数
ペイアウト倍率以外に見ておきたいポイント
1回あたりの取引時間
バイナリーオプションの1回あたりの取引時間(注文受付開始~判定)は、その長さによって最適な取引スタイルが変わります。
日本国内の会社の場合、金融機関の規制により最短2時間・長ければ1日とさまざまです。
- IG証券「バイナリーオプション」
- FXプライムby GMO「選べる外為オプション」
- GMO外貨※「オプトレ!」
取引時間が短い会社:注文開始から判定まで2時間
取引時間が短いFX会社は、1日に繰り返しトレードしたい人・テクニカル分析(チャート形状から値動きを予測する手法)を重視する人が使いやすいでしょう。
- IG証券「バイナリーオプション」
取引時間の長い会社:注文受付開始から23時間
取引時間が長いFX会社は、あまり1回のトレードに時間をかけたくない人・ファンダメンタルズ分析(政治経済ニュースから値動きを予測する手法)を重視する人が使いやすいでしょう。
FXの分析手法はテクニカル・ファンダメンタルズのどちらも重要ですが、前者は短時間トレード向け・後者なら中長期的な値動きを予測できるという特色があります。
あまりに取引時間が長すぎると、判定時間までにトレンドが変化する可能性とともに、ペイアウト獲得の難易度が上がります。まずは短時間の取引から慣れましょう。
1日の最大取引回数
集中してバイナリーオプションをやってみたい人は、1日の取引回数が多い会社を選びましょう。トレード結果の振り返り分析を効率よく進めることができます。
- 10回/日:GMOクリック証券「外為オプション」
- 10回/日:FXプライムby GMO「選べる外為オプション」
- 11回/日:GMO外貨「オプトレ!」
- 12回/日:IG証券「バイナリーオプション」
取引回数の多い会社
ただし、取引回数に応じて運用資金を小さくする工夫は必要です。まとまった額で仕掛けて値動き予想が外れてしまうと、回数をこなさないうちに資金が尽きて撤退の憂き目に遭います。
ちなみに、バイナリーオプションは海外の業者を利用して取引することも可能です。
海外業者は短時間取引が可能で、取引回数に制限がなく、取引の自由度が高いという特徴があります。
とはいえ、国内のFX会社と比較すると金融庁の管轄外のため安心面では劣っており、トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
業者によっては「出金手数料が必要」「出金までに時間と手間がかかる」「条件を満たさないと出金できない」といったケースもあるので、あまりお勧めできません。
この記事のおさらい
- バイナリーオプションのペイアウト倍率とは、予測が当たったときの「投資額に対する払戻額の比率」でFX会社ごとに異なります
- バイナリーオプションの利益見込み額 = 投資額×(ペイアウト倍率-1.0)
- ペイアウト倍率の提示方法は、取引所ごとに「固定型」と「変動型」があります
- 日本の登録会社で取引できるのは「変動型」のみです。高倍率を狙えるが専門性の高い相場分析が必須です
- バイナリーオプションの会社選びでは「1回あたりの取引時間」「1日あたりの最大取引回数」も重要です