FX取引で役立つの3つの勉強STEP
FXとは何かやFXの仕組みを何となく理解できたら、次に重要なのはそれをどう自分のトレードに落とし込むかです。
つまり、ご自身がFXをどうようにして上達していくのかが重要です。
そのためには勉強が欠かせませんが、いったい何をどんな順序で勉強すれば良いのでしょうか。
この記事では、FXを行うのに必要な勉強を、3つのSTEPに整理してみました。
FXの勉強3ステップ
- STEP① 最低限知っておきたい専門用語を理解する
- STEP② テクニカル分析とファンダメンタルズ分析を理解する
- STEP③ 少しずつリアルトレードをして慣れていく
これならできそうだと思った方は、FXを続けて行ける可能性があります。
STEP① 最初に勉強しておきたい専門用語8選
それでは1つ目のSTEPとして、初心者が知っておきたいFXの専門用語を解説していきましょう。
これらの言葉は頻繁に登場しますし、意味を知っておくとFX取引の上で有利になるものばかりです。
レバレッジ
レバレッジとは「てこ」という意味です。FXには証拠金の何倍もの取引ができる仕組みがありますが、これを「てこの原理」になぞらえてレバレッジといいます。
レバレッジ5倍であれば、証拠金の5倍の取引をしているということです。
なお、日本国内のFX会社の最大レバレッジは25倍です。
例えば、1ドル=100円の時にドル円で1万通貨の取引をしたとしましょう。100円×1万通貨なので普通に考えれば100万円必要ですが、レバレッジ25倍であれば25分の1になるので4万円あれば取引が可能です。
レバレッジはあくまでも「資金効率を高めてくれる仕組み」であって、トレードを有利にしてくれるわけではないということ。
トレードが上手な人は効率良く資金を増やせるかもしれませんが、トレードに失敗すれば資金の減少率を高めることも理解しておく必要があります。またレバレッジを高めれば高めるほど、相場が逆行した場合にロスカットされやすくなるため、リスクも高まります。
レバレッジを活かしてうまく取引をしていけるかは、いかに勉強するかにかかっています。
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①スプレッド
FX取引に適用されるレートには、売値と買値という2つのレートがあります(それぞれBidとAskと呼ばれています)。
スプレッドとはこの2つのレート間の差額のことで、FX会社にとっては実質的な手数料となります。
この場合、Bid(売値)が109.522、Ask(買値)が109.524です。その差は0.002なので、これがスプレッドです。つまり、買った瞬間に売っても、投資家は0.2銭の損になります(売り買いを逆にしても同様)。この差額がFX会社の手数料です。
投資家にとってはスプレッドの幅が狭いほど取引手数料を掛けずに済むので、FX会社はスプレッドの狭さを競い合っています。
なお、このスプレッドは原則として固定されていることが多いですが、相場の急激な変動や流動性の低下などによって一時的に拡大することもあります。
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②スワップポイント
FXでは異なる2つの通貨をペアにして取引をします。ペアを構成している通貨間に政策金利の差がある場合、その金利差を調整するためにスワップポイントを受け取る、あるいは支払う仕組みになっています。
ご存じのように、日本は超低金利です。
世界には日本をはるかに上回るような高金利の国もあるので、それらの通貨とのペアで「円売り外貨買い」のポジションを保有すると(例:ドル円の買いポジションを持つ)、スワップポイントとして差分を毎日受け取ることができます。
金利差がある限りスワップポイントは支払われ続けるため、長期保有でスワップ収入の蓄積を狙う投資手法もあります。
ただし、スワップポイントを支払う取引があることも忘れないでください。
現時点の金利差では、ドル円やトルコリラ円、南アランド円、メキシコペソ円などの通貨ペアで売りポジションを持つと、投資家側が金利差に応じたスワップポイントを支払うことになります。
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③ポジション
FX取引で通貨ペアを売買する際の「持ち高」のことをポジションといいます。
通貨ペアを買う取引をすると買いポジションを保有することになり、逆に売る取引をすると売りポジションを保有します。
レバレッジをかけて通貨ペアを売買するのは、実際に外貨の現物を売買しているわけではないので、それと区別するためにポジションという言葉が用いられています。
ポジションは決済することにより、損益が確定します。
④ロスカット
ロスカットとは、FX会社が設けている損失拡大防止ルールです。
保有しているポジションで含み損(まだ確定していない損失)が一定レベルに到達した場合、それ以上の損失拡大は預入資産以上の損失につながる恐れがあるため、FX会社がロスカットを発動して保有ポジションを強制的に決済します。
基本的には、ロスカットが発動することで「資金を全額失うような事態」を防げるのですが、為替の変動があまりにも急激な場合はロスカットが間に合わず、資金以上の損失が生じる可能性もゼロではありません。
「どんな場合でも必ず資金が残される」わけではないことは、FXのリスクとして知っておきましょう。
いずれにせよ、投資家自身が注文を入れていたわけではないのに自動的にポジションが決済されてしまうので、ロスカットに遭う前に損切りの注文を入れておくと良いでしょう。
多くのFX会社は「このレートになったらロスカットになる」というシミュレーションができるツールを用意しているので、こうしたツールを活用すると資金管理がしやすくなります。
50万円の資金を預け入れてドル円を10万通貨買ったとします。これをシミュレーションしてみると、ロスカット発動レートは63.942になりました。
ドル円の史上最安値(75円台)よりも下のレートなので、かなりロスカットまで余裕のある資金管理状態だと言えるでしょう。
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⑤チャート
過去のレート変動を時系列でグラフ化(視覚化)したもので、そこから未来の値動きを予測するために用いられるツールのことをチャートといいます。
チャート分析はFX取引で欠かせない重要な要素であり、ツールです。
チャートにはさまざまな種類があり、「ローソク足」という4本値(始値・終値・高値・安値)が記録されたバーが並ぶものが一般的です。
また、「移動平均線」「ボリンジャーバンド」といった、値動きから計算されたテクニカル指標を表示することもあります。
⑥注文方法(成行、指値、逆指値など)
FXには多彩な注文方法があります。「成行(なりゆき)」は、発注時のレートで「今すぐに売買したい」という注文を出すことです。
それに対して「指値(さしね)」は、売買したいレートを決めておいてそのレートになったら注文を発動するという注文方法です。
「逆指値」もレートを指定するという意味では指値と同じですが、指値と違うのは投資家にとって都合が悪いレートを敢えて指定する点です。
なぜそんな注文方法があるのかというと、「損切り」や「あるレートを突破して今より高くなったら買う」といった条件を付ける場合に利用価値があるからです。
この他にも、FXにはOCOやIFD、IFOといった複合的な注文方法もあります。
IFD注文(イフダン注文)
- IFD注文は、新規注文と決済注文の二つを予約できる注文方法です。
予約した値段に達して新規注文が約定したら、決済注文(利食いか損切り)も同時に発動する仕組みです。
OCO注文(オーシーオー注文)
- OCO注文は指値と逆指値の注文を同時に出すことができる注文方法です。
利食いと損切りの注文を同時に出す際に有効で、ポジションを持った時点で目標額と損失の上限を同時に予約することができます。
IFO注文(アイエフオー注文)
- IFOはOCOとIFDを組み合わせたような注文方法で、1つ目の新規注文が成立したら自動的に決済のOCOの注文が予約されます。
1つ目の注文でエントリーしたのと同時に利食いと損切りの上限を予約できる注文方法です。
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⑦トレードスタイル
FXにはさまざまなトレードスタイルがあります。時間軸で分類すると、1回のトレードスパンが長い順に「スイングトレード」「デイトレード」「スキャルピング」となります。
スイングトレードは時間軸よりも利幅の最大化を目指すトレードスタイルで、1回のトレードスパンは数日から数週間程度になります。
それに対してデイトレードはその日のうちにトレードを終えることが前提の短期トレードで、スキャルピングはさらに短く秒単位、分単位で売買を繰り返す超短期トレードです。
トレードスタイルはそれぞれ目的や性格が異なるため、投資家はそれぞれの特徴を踏まえた上で最適なものを選ぶのが良いでしょう。
なお、数か月から数年単位でトレードをする超長期スタイルを「ポジショントレード」と呼ぶこともあります。
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STEP②テクニカル分析とファンダメンタルズ分析とは?
FX取引には、相場を分析して未来を予測することが必要です。
そのために欠かせないのが、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析です。
これらはFXの両輪と言えるほど重要なもので、それぞれ長所と短所があります。
この両方をうまく補完し合いながら活用していくことになるので、基本からしっかりと学んでいきましょう。
「最低限これだけは知っておきたい」という知識に絞って解説していきます。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析とは、チャートを用いた相場分析手法のことです。
ローソク足や移動平均線などはすべて過去の値動きを示すチャートですが、これらをもとに相場がどの方向に向かうのかを予測します。
これは、「今ある傾向はこのあとも続く可能性がある」という考え方に基づいています。
もちろんそれで値動きを100%言い当てることはできませんが、根拠を持った運任せではないトレードが可能になります。
チャート上の情報から値動きを読み取ることはテクニカル分析の本質ですが、テクニカル分析をマスターするメリットはもうひとつあります。
それは、外為市場に参加している投資家の多くがチャートを用いてテクニカル分析を行っているという事実です。
つまり、テクニカル的な観点で売買シグナルが出たら、それを世界中の多くの投資家が察知してトレードを行います。
外為相場はテクニカルによる影響で相場が動くことが多いため、テクニカル分析をマスターしておくことは世界中の投資家による多数決に参加できることを意味します。
チャートは視覚化されているため、実際のチャートを見ながら勉強するのが効果的です。「こういう形になったら買い」といったルールを作っていくことで、トレードの技術はどんどん上達します。
ファンダメンタルズ分析とは?
一方、ファンダメンタルズ分析とは、それぞれの通貨を発行している国の政治・経済や国際情勢などをもとにレート変動を予測する手法のことです。
テクニカル分析はチャートが情報源になりますが、ファンダメンタルズ分析は経済に関する発表やニュースなどが情報源になります。ちなみにファンダメンタルズとは基礎的要因という意味です。
それではFX投資家がファンダメンタルズ分析において知っておきたい、代表的な指標を3つご紹介しましょう。
代表的な指標①|アメリカ雇用統計
雇用統計とは各国の失業率を知るための数値で、「雇用者数が多い=失業率が低い=景気が良い」と判断されるため、その国の通貨が買われる要因になります。
FXの世界で雇用統計というとアメリカの雇用統計のことを指すと言われるほど注目度が高く、毎月第一金曜日に発表されることが多い雇用統計(正式には「非農業部門雇用者数変化」)の数値によって、特にドル円など米ドル絡みの通貨ペアが大きく変動します。
アメリカ雇用統計に限らず、経済指標発表で注目するポイントは、市場の予想と比べて高いのか低いのかという「予想の裏切られ度」です。
予想に反して高い場合はドルが大きく買われ、逆に予想に反して低い場合はドルが大きく売られるといった具合です。
上記のチャートは2019年12月6日のドル円チャートです。
前回が15.6万人で予想が18.5万人というところに、26.6万人というポジティブサプライズとなりました。その結果、ドル円が急騰しているのが見て取れます。
代表的な経済指標②|政策金利
政策金利とは、各国の中央銀行が設定する短期金利のことです。この政策金利が国全体の金利情勢に影響を与えるため、「政策金利が高い=高金利国」という図式が成り立ちます。
高金利通貨は保有していれば金利が得られるため、金利の引き上げ(利上げ)は基本的にその通貨の買い要因になります。同様に、引き下げ(利下げ)は下げ要因です。
また、政策金利は一度引き上げまたは引き下げを行うと以降も連続することが多く、政策金利の変更はその国の金利情勢がどちらに向かうのかを予測する材料になります。
前述のスワップポイントは、この政策金利により基本的な数値が決まります。
代表的な経済指標③|GDP速報
GDPとは国内総生産のことで、「GDPが拡大=経済成長」を意味します。経済が成長していると景気も良いため、その国の通貨には買い材料となります。
なぜなら、景気が良い国は景気の過熱感を抑制するにあたり金融引き締めといって市中の資金量を減らすために利上げを行うことが多いからです。
つまり、各国が発表するGDP速報値が高ければ買い材料、低ければ売り材料となります。
STEP③基礎を学んだら実践!取引での勉強方法を紹介
ここまでFX取引を始めるのにあたって、必須となる知識をSTEPごとに解説してきました。基礎を学んだ次にすることは、実践です。
とはいってもいきなり本気のトレードはリスクが高いので、ここでは1,000通貨の取引で実践的な勉強を進めていく方法を解説します。
1,000通貨の取引で取引に慣れよう
「実践に勝る練習なし」という言葉があるように、FXでも基本を押さえたら次は実践してみましょう。
とはいえ、いきなり手持ち資金の多くを投資してしまうと全額を失ってしまった時のダメージが大きすぎるのも事実。
そこで、1,000通貨から始めるという方法があります。
1,000通貨なら、仮に1円幅の損失を出してしまったとしても損失額は1,000円。経済的負担がそれほど大きくない状態で経験を積むことができます。
FXを実践的に学ぶ2つの方法
FXを実践的に学ぶには、2つの方法があります。
- 本や動画・ブログでインプット
- 実際に取引してパターンを掴む
1つはインプットで、本や動画、ブログなどを活用してFXの知識を身につけること。
もう1つはインプットとは反対のアウトプットで、実際にFX取引をやってみること、そして実践から得られた感覚や経験則、気づきなどを得ることです。
リスクが最大になった時のダメージが許容できる範囲で取引を始めてみて、取引のコツや勝ちパターン、負けパターンなどを実践を通じてつかんでいきましょう。
そこで気づいたことや興味がわいたことはどんどん試してみるという応用的な実践も有効で、その結果から学ぶとさらにFXの知識や技術が身についていくでしょう。
トレード記録を残そう
業務改善の手法として有名な、PDCAサイクルをご存じでしょうか。
Plan(計画)、Do(実行、実践)、Check(評価、検証)、Action(行動、改善)という4つの頭文字を取ったもので、試行錯誤を繰り返しながら改善を続けていけばビジネスモデルを最適化できるという考え方です。
この考え方は、FX取引の技術向上にも役立ちます。
自分なりに相場を分析してみて実際にトレードを行い、その結果を記録することで次のトレード技術向上に役立てるというわけです。
P(分析)、D(トレード)、C(記録)、A(検証)というように、すべてのプロセスをPDCAサイクルに当てはめることができます。これをすることで見えてくるのは、以下のような気づきです。
PDCAサイクルに当てはめるとわかるようになること
- どんなパターンだと勝ちやすいのか
- どんなパターンだと負けやすいのか
- 勉強が足りていないのはどの部分か
これらを改善し続けることにより、自分が得意とする勝ちパターンが確立していきます。
そして同時に、負けパターンでは戦わずに済むようになります。
それでは、トレード記録においてどんな項目を記載すればいいのでしょうか。以下が、その主な項目です。
トレード記録はどんな項目を記載すればいいのか
- トレードをした日時
- トレードをした通貨ペア、売買がどちらだったのか
- 取引数量
- 注文を出したレート
- 利食い目標と損切りレート
- トレードの根拠となったチャート分析、ファンダメンタルズ分析
- トレードの結果、利益もしくは損失額
- このトレードから何を学んだのか、気づいたのか
言うまでもありませんが、重要なのは最後の項目です。
結果として、このトレードから何が分かったのかということが貴重な財産になっていくので、この記録は多ければ多いほど良いでしょう。
多くの投資家は脳内でこの記録をしていますが、それだと忘れてしまったり感覚的なものになってしまう可能性があるので、ノートやExcelなどを使って記録するほうがいいでしょう。
また、なぜその注文を出す結論に至ったのかという根拠をチャートとファンダメンタルズそれぞれで記録しておくと、その分析や相場観と結果を比較して自分の精度が明らかになります。