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「異次元の量的緩和」とは?金融緩和の基礎からわかりやすく解説

「異次元の金融緩和」が発表された、4月3日-4日に行われた日銀の政策金融決定会合。毎月行われているこの会合ですが、4月は開催前から注目を浴びていました。それはなぜか?

3月に就任した黒田日銀新総裁主導のもとの最初の会合だったからです。黒田総裁は安倍政権で推し進める経済政策、通称“アベノミクス”を推し進めるために選ばれました。

“アベノミクス”における経済政策で重要なポイントは「デフレからの脱却」です。バブル崩壊後、20年も続くデフレ経済。物価が安くなる半面、個人所得が増えない、企業業績が伸びない、税収が減少するなどデメリットも多くあります。

安定的な成長のため、まずこのデフレからの脱却を目指し、2%程度のインフレを目標とする。そして、そのためにあらゆる手段を導入するというのが“アベノミクス”です。

この“アベノミクス”を進めるために選ばれた黒田日銀新総裁を迎えた最初の金融政策決定会合でどのような方向性が示されどの程度の金融緩和が発表されるのかということが非常に注目されていました。その結果、異次元の金融緩和が発表をされました。

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そもそも質的緩和と量的緩和って?

今回の内容を見ていく前に、そもそも金融緩和とはどんなものかみなさんご存知ですか? また、なぜ金融緩和を行うとデフレからインフレに向かうのでしょうか?

金融緩和には、質的緩和と量的緩和の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

では、なぜこれらの金融緩和策が、デフレストップ、インフレへの効果が期待されるのでしょうか?そもそも、なぜデフレが起きるのかということですが、簡単に言ってしまえば、お金の循環(流れ)が滞ることが原因です。お金が多く流れないので、物が売れない。物が売れないので企業業績が上がらない。企業業績が上がらないので給料があがらない。給料が上がらないので物が売れない。だから値下げしてでも売ろうとする。これがいわゆるデフレスパイラルです。

質的緩和とは?

まず質的緩和ですが、長期金利の引き下げがこれに当たります。これは景気が下降期に入るとまず真っ先に行われる緩和策です。日本ももちろん例外ではありません。バブル期に7%を超えていた政策金利もどんどん下がり、現在は0.1%と2000年前後から多少のアップ(0.75%程度まで)はあるものの実質ゼロ金利レベルです。

金利が高い時は、銀行などにお金を預け、金利を得ようと考える人が増えます。一方で金利が低い時は、銀行などにお金を預けていても金利はほとんど得られません。また、借金をしても、金利の負担は多くはありません。

そのため、貯め込むよりも使う。企業などは安い金利で借り入れを行い、設備投資を行う。そして、需要のアップを促す。こういった形で、お金の循環をよくするのが質的緩和です。

量的緩和とは?

続いて量的緩和とは、市場に流れるお金の量を増やすことをいいます。いわゆるマネーサプライのアップということになります。

こちらも、お金の循環を良くするという意味では質的緩和と変わりありません。

銀行をはじめとする金融機関は、日銀からお金を借り、そのお金を企業、個人に借り入れてもらうことで成り立っています。つまり、日銀から金融機関へたくさんのお金を貸し、金融機関が持っているお金を増やることにより、金融機関がより積極的に企業にお金を貸し、その結果設備投資が増え、需要が増えていくというものです。

また、質的緩和にはもう一つの意味があります。お金の供給量が増えるということは、お金の価値が相対的に低くなるということです。市場に1万円しかないときの1万円と、市場に2万円あるなかの1万円では、同じ1万円でも価値が相対的に低いといえますよね。これによって必然的に物価が相対的に上昇し、いわゆるインフレの状態を作り出すことが量的緩和と言われる政策です。

今回の日銀政策金融決定会合が異次元の緩和策といわれるのはなぜ?

今までとの違いは?

先ほども書きましたように、日本も1990年以降、どんどん金利の引き下げは行い、低金利政策を行ってきました。ゼロ金利政策も、ある意味異次元の金融緩和策だったと言えるのですが、残念ながら、デフレ脱却とはなりませんでした。

今回の異次元の緩和策は量的緩和の部分で、異次元の緩和策と言えます。今まで、日銀は金融緩和を行い、デフレ脱却を目指すと言いながらも、反面バブルのトラウマでインフレに対して、相当なアレルギーを持っていました。デフレを脱却すれば、当然インフレ。つまりアクセルを踏みながら、知らず知らずのうちにブレーキを掛けていたのが今までの日銀の金融政策でした。言葉を変えて言うならば出し惜しみです。

具体的に何をしたの?

今回は、そのブレーキを外し、現政権がかかげる2%の物価上昇に向かって、できることはすべて行うという政策を発表しました。現状でできる、考えられる金融緩和策は出し惜しみすることなくすべて行うという姿勢です。具体的には

  • 2年間で市場に供給量を倍増させる。
  • リスク資産の買い入れ

の2点があげられます。市場の供給量を倍増させるということはもちろん、リスク資産の積極的買い入れは今までの日銀からは考えられない政策であったといえます。

今までも国債は残期間が3年程度のものを金融機関から買い取り、市場へ現金を投入してきましたが、よりリスクの高い、残期間7年程度のものまで広げてきました。

また、ETF(上場投資信託)、J-REIT(不動産投資信託)も今以上に積極的に買い入れ、ETFは1兆円、J-REITは300億円のペースで積み上げていくことが発表されました。

現時点までの成果

このように、今まででは考えられない金融緩和政策を発表し、政府とともに、真剣にデフレ脱却、2%の物価上昇を目標としてできることはすべて行うという姿勢を見せたことにより、市場は大きく反応しました。為替相場は100円直前まで、また株式市場はリーマンショック以降の最高値更新と現時点では好感を持って反応しています。

ただ、まだ具体的にはなにも結果が出たわけではありません。今後も継続して、デフレ脱却のための政策を行っていき、結果を求められることになります。 現状は、まだ期待によるマーケットの反応から抜け出していませんが、今後は、実態を伴うかどうかを注視していく必要があります。

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