FXの決済は、含み益が出ているときに決済する「利益確定(利確)」と、含み損が出ているときにそれ以上の損失を防ぐために決済する「損切り」に分かれます。
利確・損切りにあたっては、自分で決めた具体的なルールを守り、総合的に利益分が大きくなるように努力すること(損小利大)が重要です。
また損切りに関しては、次項で解説する強制決済(ロスカット)ルールも頭に入れておくようにしましょう。
強制決済(ロスカット)に注意
FXでは、決済をしなければ、チャート上では損失が出ていても実際の損失は確定されず含み損のままで資金も減りません。
しかし一定割合以上の含み損が出た場合、FX口座に入れている資金(証拠金)以上の損失が出ないよう、FX会社のシステムで強制決済(ロスカット)が行われることがあります。
ロスカットは金融庁の取り決めにより全FX会社に義務付けられているもので、顧客の資金を守るための仕組みですが、発動すれば持っていたポジションがすべて自動決済され、多額の損失を出したまま取引が終了(いわゆる「退場」)してしまいます。
さらには急激な相場変動時にはロスカットにおいてもスリッページが発生する可能性があります。
その場合、入金額を上回る損失が発生し、追加証拠金が発生するリスクも存在します。
そのためロスカットが発動しないように、自分で損切りラインを設定し、実行することが重要です。
FXでは、証拠金に数倍のレバレッジをかけて取引することもできるため、少しの値動きでも損失が膨らみやすくなっています。
そこでFX会社の証拠金シミュレーションなどを用いて、現在の相場からどのくらい相場が動いたらロスカットが発動するのか確認しておきましょう。
あらかじめ決済注文を逆指値で出しておくなどの予防策も有効です。
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決済のタイミングを見失う「塩漬け」に注意
FXで、含み損を決済できないままポジションを持ち続けてしまうことを俗に「塩漬け」といいます。
塩漬けしている間、損失は確定されませんが、所有しているポジション分の資金は動かすことができません。
これから相場が利益方向に戻る可能性もありますが、相場がさらに動いて、FX会社の定めるロスカットラインにかかる恐れもあります。
決済するのが怖い塩漬けポジションを発生させないためには、自分で決めた損切りルールを守り、こまめに損切りを行っていくことが必要です。
決済のタイミングは利益確定・損切りの基準を明確にする
FXで大事なことは、決済について自分なりのルールを決めておくことです。
決済は利確と損切りを決断することなので、どちらの場合も精神的な負荷がかかります。
「もう少し利益が出るかもしれない」「もう少し我慢すればマイナスを取り戻せるかもしれない」と、いっときの感情に流されず、ルールに基づいた利確・損切りラインで運用しましょう。
「2%ルール」で損切りする
現在持っている資金の2%を許容損として、損切りラインを設定する方法があります。
たとえば、現在持っている資金が100万円であれば、1回の取引の含み損が2万円になった時点で損切りします。
利確や損切りで資金額が変われば、そちらを基準にします。
利確幅と損切り幅の比率を決める
FXで上手く運用するためには、損益比率(リスクリワード)を決めることも有効です。
たとえば、利確幅20銭(20pips)、損切り幅10銭(10pips)とすると、リスクリワードは1:2になります。
この場合2回損切りしても、1回利確できれば損失を取り戻すことができます。
FXは毎回勝てる(利益確定できる)ことはまずないので、リスクリワードを意識するとよいでしょう。
テクニカル分析を活用する
FXにはテクニカル分析といって、過去の相場の変動幅(ボラティリティ)や、最高値・最低値などから利確・損切りラインを出す方法があります。
たとえば「一目均衡表」という手法であれば、「雲」の手前で利確を行う、「ボリンジャーバンド」であれば、1σのところで利確を行うなどです。
またテクニカル分析を使うことで、今の相場の状況からエントリーすべきかそうでないかが読み取れて、より有利な立場で新規ポジションを持つこともできるようになります。
トレンドラインなどの使いやすい手法もあるので、活用するとよいでしょう。
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土日や長期休暇の前に決済を済ませておく
FXは平日24時間取引できますが、市場が閉まる土日やクリスマス、年末年始は取引ができません。
休み中に重大な経済・政治的事件や要人発言、イベントなどがあった場合は、休み明けに相場が一気に動くこともあります。
そのため、週末や長期休暇の前に保有ポジションを決済しておくことも重要です。
また自分が取引している通貨の発行国の抱えている政治・経済的リスクや条件(ファンダメンタルズ)については、適宜チェックするようにしましょう。
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確定申告の課税期間に合わせて決済のタイミングを調整する
FXで得た収益は、その年の1月1日から12月31日までの期間で20万円を超えると、確定申告で所得税の課税対象となります。
そこで保有ポジションの決済のタイミングを調整することで、課税対象額を調整することもできます。
なお基準日は、決済注文が成立した日(約定日)とFX会社から代金を受け取る日(受渡日)のどちらに設定してもよいですが、不適切に変更してはいけないことになっています。
各FX会社のFAQには、年末の取引についての記載があるためチェックしておきましょう。